6話 ページ10
師匠の視線にも怒りで全く気づかなかった私は、ヒーローの方を睨みつけて言った。
「ざけんな」
そんなに大きな声で言ったつもりはなかったが、何故かこの場に驚くほど響いた。
「あんた、よくもまぁついさっきその人に命を救われた人間がいる家の前で堂々とその人を罵倒できるわね」
何が「人殺し」よ
会話の内容を聞く限り、こいつは鬼がどんな存在か知っているようだ。にもかかわらず、その鬼に食い殺されかけた人間がこうやって聞き耳立てているかもしれない場所で、しかもあんなデカい声で罵声を浴びせるなんてっ……
だがヒーローは、怒りで震えている私に近づき言った。
「子どもの君には分からないことかもしれないが、たとえヴィランでも人を殺すのはいけないことなんだ」
私はヒーローの言葉を鼻で笑い返した。
「それはアレが人間だったらの話でしょう？」
「何!?」
ああ、全く持って滑稽だ。鬼を知りながら鬼を人間と言い切るとは。鬼はあくまで"元"人間だ。あの子のように、鬼になっても人を一切喰わなかったというのならまだ話は別だが、私たちがさっき遭遇した鬼は少なくともそれに当てはまらない。
しかもこのヒーローの言葉には、はっきり言って重みがない。
私の脳裏に浮かんだのは、鬼となった妹を連れた鬼殺隊の隊士のこと。私がかつて愛した人の弟弟子で、私にとっても関わり深い少年だった。
彼は鬼に対しても同情的ではあったが、それでも鬼を殺すことを躊躇ったりはしなかった。それは彼が、奪われる側の哀しみを知っていたからだ。
だがこのヒーローには、彼が──炭治郎が持っていたような慈しみは全く感じない。このヒーローからは、ただ独善的な正義感しか感じなかった。
そんな奴に、師匠が「人殺し」と罵倒されたのはどうしても許せない。
私は知っている。かつて人斬りだった師匠が、自分のその過去にどれほど苦しんだかを。
自分が転生したことに気づいた時、まず最初に頭に浮かんだのは師匠のことだった。師匠の過去を知ってる側としては、もし私と同じように生まれ変わっていたら、今度こそ戦いとは無縁の幸せな人生を送ってほしかったというのに。
どうして、この人ばかり…
「幸千」
名前を呼ばれそちらに目を向けると、師匠は前世と変わらない優しさの中にほんの少し哀しみを含んだ笑みを浮かべていた。
ああ…
やっぱりこの人も前世の記憶があるんだ…
「もう良い。お前は中に入れ」
そう言って師匠が指さした先には友人たちと友人の母親がいた。私は少し悩んだが、師匠に言われた通り家に入った。
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ナツピー(プロフ) - むいみおさん» その予定はありません。すみません。 (2020年6月12日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
むいみお(プロフ) - 名前変換できるようにしないんですか？ (2020年6月12日 6時) (レス) id: e4d7652d9a (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 好きと言っていただけるなんて嬉しすぎます！更新気まぐれですけど楽しんで読んでいただけたら幸いです(^^) (2020年5月23日 16時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
からあげ - すぅーー(息を吸ってる)好きィィィ！！です。はい。更新頑張ってください！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 7170e0490e (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 菊理さん» コメントありがとうございます。ご期待に添えるよう頑張ります(^^) (2020年5月17日 12時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年3月26日 0時
