半純血のネメシス (ページ8)

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6話ページ8

その日、消灯時間間近まで図書室で勉強をしていた私は、一人で薄暗い廊下を歩きながらため息をついた。前世では肝試しで友人たちと夜の学校に忍び込んだことがあったが、あの時のはまた違う不気味さが夜のホグワーツにはある気がする。
正直私は怪談とかそういう系の話は苦手だ。魔法界で生活するようになって結構経つからオカルトチックな話とか体験とかにもだいぶ慣れてきたけど、それでも苦手なものは苦手だ。

「早く帰ろ」

そう呟いて歩く足を早めようとした時、遠くから怒鳴り声が聞こえた。

「待たんかァァ!!ウィーズリーィィィ!!」

その声には聞き覚えがあった。

「フィルチか。ていうかウィーズリーって……」

私の頭に思い浮かんだのは、1年の頃から問題ばかり起こすグリフィンドールの双子の顔だ。そしてそれから数秒後、廊下の向こうから楽しそうに息を切らした赤毛の二人組がこちらに走ってくるのが見えた。
フィルチも多分結構近くにいるだろう。このままだと捕まるかもしれない。
ああ、でもこの階の廊下には、分かりにくいけど物置みたいな部屋がいくつかあったな……。そこに隠れたらやり過ごせるかも。
そう思った時、前から走ってくる双子と目が合った。

私は一瞬考えた。別に友人でもない彼らを助ける義理なんてない。でも彼らはハリポタの原作にもいろいろ関わってくるみたいだし、まあ恩を売っても損は無いか。

そんな打算まみれな考えのもと、私はすぐ近くにある物置部屋を指さした。双子は一瞬は驚いたように目を見開いたが、すぐに私の意図に気付いたようで私が指さした先にある壁を何度か叩いて部屋の中に入って行った。そしてそれから少しした後、フィルチが息を切らしてウィーズリー達が来た方向から走ってきた。

フィルチは廊下にいた私をキッと睨むと

「ウィーズリーが来なかったか!?」

と聞いてきた。私は無言で、私がさっき歩いてきた廊下を指さした。

「逃げ足の速い奴らめ!!」

フィルチは憎々しげにそう吐き捨てると、すぐに走り去って行った。

「もういいわよ」

私が静かにそう言うと、物置部屋から双子が勢いよく出てきた。