半純血のネメシス (ページ7)

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5話ページ7

2年生では特に揉め事も起こさず、何事も無い一年を過した。少し退屈な気もしたが、次の年から嵐が来ることを思えば今は退屈くらいがちょうどいい。

私は帰りの汽車のコンパートメントで、一人外の景色を眺めながら物思いにふけっていた

この物語の主人公、ハリー・ポッターは次の年に入学してくる。私は前世の親友に聞いた話でしか原作の内容を知らないが、ハリー・ポッターが入学してきてからこの世界は大きく動くことになる。

物語の中でメインとなるのは、ハリー・ポッターと名前を言ってはいけないあの人──ヴォルデモートとの戦いだ。
私はそれに積極的に関わるつもりは今の所ないが、それでもポッターとはいずれ接触することになるだろう。私の目的のために。

そういえば、2年で変わったことといえば──

「お、こんなとこにいたのかセシル？」

「見つけたか？ジョージ」

「ああ。ここにいたぞ、フレッド」

騒がしいのが来たと私は内心ため息をついた。私一人だったコンパートメントにいきなり入ってきたのは、グリフィンドールのウィーズリー双子だ。
この2人は主人公のハリー・ポッターの親友、ロン・ウィーズリーの兄たちだ。多少覚えている原作の内容でもそれなりに濃いキャラだったと認識している。

「わざわざ私を探すなんて暇なの？あんた達」

呆れ顔で聞く私に対して、双子──フレッドとジョージは全く同じ仕草で肩を竦めた。

「暇だなんてとんでもない！」

「そうさ！僕たちは新しいイタズラのアイディアをかんがえていたんだ！」

「そして我等が参謀の君の知恵借りたいと思って探していたのさ！」

フレッドとジョージが交互に話すこのテンポの早い会話にもいい加減慣れたのだが、一つ聞き捨てならないワードがあった。

「ちょっとあんた達。今聞き間違えじゃなければ『参謀』と言う言葉が聞こえた気がするんだけど、まさか私のことじゃないわよね？」

「「君以外誰がいるんだい？」」

間髪入れず声を揃えてそう答えた2人に、私は思わず頭を抱えそうになった。

私がこの2人にどういう訳か懐かれた経緯を説明するには、去年の9月──2年の新年度が始まったばかりの頃まで遡らなければならない。