半純血のネメシス (ページ12)

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10話ページ12

ちなみにセドリックとは、図書館通いで顔を合わせているうちに自然とよく読む本や課題について話している内に仲良くなった。

セドリックのことは前世の親友から話に聞いただけだが、彼は親友の推しと言うだけあって私的にもそれなりに印象に残っているキャラだ。

そして……私が死なせたくないと思っている人間の一人だ。

私は人伝に聞いただけだが、この世界の未来を知っている。特に、主人公に大きな影響を与えた登場人物の死については…ね。

セドリック・ディゴリー

シリウス・ブラック

フレッド・ウィーズリー

私の記憶にある原作で死亡する登場人物で、絶対に死なせたくないのはこの3人だ。

信じられる？私の目の前にいるフレッドとセドリックが、あと数年で死ぬなんて。

前世の私にとっては紙の中の世界だった。でも私が今生きているのは、確かにこの瞬間存在する世界なんだ。その世界で本来死ぬ運命の人を救うのは、きっと並大抵の事じゃない。
それに、私は物語の中で死ぬ人達全てを救うことは出来ない。それでも数人の友人や、関わりのある人だけは死なせたくないなんて──

私は自嘲するように笑った

なんて身勝手な。神にでもなったつもりか？

私は原作の流れを大きく変えるつもりは無い。大きく買えた結果、ハリー・ポッターがヴォルデモートに負けるなんて未来になったら本末転倒だからだ。
私が持つ情報を例えばダンブルドアとかに話せば、きっと多くの人の命を救うことが出来るのだろう。でも私はそれをしない。

私は全ての人の死の運命を変えることのできるような、そんな"主人公"にはなれないから。

だからせめて、手の届く範囲で大切な人を守りたい。

何事もない一年？
いや、前言撤回しよう。

この一年は、私が決意を新たにするきっかけとなった年だった。

そして9月
ついに運命の日が来た

「ポッター・ハリー！」

その名が呼ばれた瞬間、広間中にシーッというささやきが波のように広がった。
前に進み出たメガネをかけた小柄な少年の頭に、組み分け帽子が被せられる。それから少し間を置いて、帽子は叫んだ。

「グリフィンドール！」

その瞬間、おそらく今日一番の割れるような歓声が広間中に響き渡った。

さあ、物語の始まりだ。