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僕達から逃げるように去ろうとした
Aさんの腕をすぐに掴んだ。
「 此処に用が有って来たんだろう。
帰ってもいいのかい？ 」
「 ……そ、れは。」
ぽつりと、彼女がそう呟いた。
初めて答えてくれたような気がして
嬉しく、少し口角を上げてしまう。
「 何の用が有ったんだい？
僕達で良かったら、手伝えることなら手伝うよ。
ね、司くん。」
「 ん！？ あ、ああ！ そうだな！ 」
いきなり振られて声を裏返す司くん。
" オレたちはキャストだからな！案内も出来るぞ！ "と
言葉を付け足して、彼女からの言葉を待つ。
「 ……ショー、 」
「 え……ショー？ 」
彼女の言葉に、寧々が反応した。
「 ……私が今日貸した、小説。 」
寧々と司くんは頭上にはてなマークを浮かべているけど、
僕はそこまで言ってくれたらことで意味を理解した。
「 嗚呼、もしかしてだけど、
貸してくれた小説を題材にしてショーをしてみよう、
と言ったから、気になって見てみたい、って事かな。」
「 ……！ 」
そう答えると、Aさんは目を見開いて顔を逸らした。
フフ、なるほど、図星かな。
「 つまり、Aさんはその…類が読んでいた小説か。
その物語のショーを見てみたいってことか。」
「 私、内容とか何も聞かされてないんだけど…。
練習しか見せられないんじゃない？」
「 ……っ、やっぱり迷惑か」
司くんと寧々の言葉を聞いたAさんが、
小さな声で呟いた。
「 そんなことないよ。」
「 えっ……？ 」
「 まだ皆に詳しく内容を話せてないから、
練習を見てもらうことになるけど、
Aさんは、それでも大丈夫かな？ 」
「 ……っ 」
こくんと頷いた。
もしかしたら、彼女はショーが好きなのかもしれないね。
「 そうと決まれば早速ステージに行こうでは無いか！ 」
「 あ、ちょっと、そんな急がなくていいでしょ…！ 」
「 フフ、じゃあ僕達も行こうか。」
「 ……す、少しだけだから、見るの。」
司くんを追い掛ける寧々を見て、
僕たちも追うように歩いていく。
Aさんはそう言っていたけど、
横顔は何処か嬉しそうだ。
あれ、もしかして僕、Aさんに触れた……！？ (今更)
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作者名：優風 | 作成日時：2024年1月16日 14時
