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Aさんに本を押し付けられた時、
凄くドキドキと、胸が高鳴った。
彼女が触れた本。
直接彼女に触れた訳では無いけれど、
彼女が触れた本に、僕も触れていると思っていると
自然と口元が緩んでしまい、手で隠す。
彼女は誰かと言葉を交わすことも、触れることもない。
それが、僕が初めて、だとすると嬉しくて堪らない。
パラパラとページを捲り、物語を読んでいく。
ただ読むだけでなく、ここはああすれば、
あそこはあの機械を使えば、と考えながら。
余程熱中していたのか、昼休みを終えるチャイムが鳴る。
ぱたりと本を閉じて隣を見れば、
いつの間にか席に戻っていた彼女。
そしてふと、目が合う。
「 ！ 」
「 あ、Aさん。さっきは礼を言いそびれてしまったね。
貸してくれてありがとう、
中々面白くて良い案が浮かびそうだよ。」
「 ……。」
相変わらず答えてはくれないけど、
直接礼を言えたから良しとしようかな。
そして、5時限目の授業が始まった。
勿論、僕は機械のメンテナンスをしながら。
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時間は過ぎて放課後。
司くんと寧々と一緒にフェニックスワンダーランドへ向かう。
本当はAさんと帰りたかったのだけれど、
どうやら先に帰ってしまったみたいだ。
少し惜しい気持ちを抱きながら歩んでいると、
「 ん？あれ、Aさんじゃないか？ 」
「 Aさん！？ 」
「 ……類、反応早過ぎ。」
司くんがそう述べた。
前を向くとフェニックスワンダーランドのゲートに
立ちすくむ彼女の姿が。
……何故、彼女が此処に？
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作者名：優風 | 作成日時：2024年1月16日 14時
