【HQ】月島くんと日向さん

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｢……あはは、ごめんね。こんな重苦しい話｣



　そんな子たちと会ったから気が滅入っちゃっただけなんだ、と簡単に言うけどそんなぱっと片付けていい話じゃないと思った。
　辺りを見ると、もう公園の明かりがぽつぽつとつき始めている。



｢話せって言ったの僕だし、別に｣


　自分でも素っ気なすぎるとは思ったが、言えといったのに掛ける言葉が分からなかった。笑ってるのに、まだまだ落ちる涙を逸らし正面を見る。
　座ってただけのブランコから音が鳴って、隣からガタガタと煩く聞こえた。重い空気が破れた、というか破ろうとしたみたいに大きく足を振って体を動かす彼女。対照的に動かない僕を見て、笑った。


｢ふふちょっと気が楽になった｣
｢……変な言葉掛けられないから、何も言えなくてごめん｣


　いつもの僕じゃなく、正直に。捻くれてる自覚はあるし、いつも素直じゃないけど、そんなことを再確認出来るほど余裕がなかったのかもしれない。どうにか、彼女が元気に明るく居られますように、なんて願ってしまうくらい。
　彼女が笑顔になるなら良いじゃないか別に。



｢えー！なんで謝るのツッキー！話しただけで楽になったんだから〜｣



　それにちょっと蛍が謝るって怖い、と眉を下げて笑う。
　まあ、僕だって自分がいつもと違うし気味が悪いって思うから、そんな反応になるのも分かる。


　あと、
　こんなこと、思うのは彼女に申し訳ないけど打ち明けてくれたのは、ちょっと嬉しい。いつも明るい日向Aの本心を見たみたいで、優越感に浸る。
　まだガチャガチャうるさいブランコに、影でそう思う。




｢少しでもキミのためになったなら、｣

　僕はそれだけで嬉しい。
　……恋って人を変える、その通りだと思う。きっと良い意味で変わったと自分が思うから。



｢え、蛍いまなんて言った？｣
｢……なんにも｣



　気になると騒ぐAに、帰るよと促す。程々に長話をしていた。あと少しで陽が落ちそうだ。
　公園からでて、並んで帰る。余所余所しさもなく、お互いに一歩近付いた距離感が心地良かった。勿論、手なんか繋がないけど無駄話で盛り上がれるくらいの友達いれるから、今はそれで十分だ。



｢ね、蛍は信頼できる人？｣
｢はあ？そのくらい自分で判断してよ｣
｢はーい、勝手に信頼しておく｣



　もどかしい、それが僕には丁度良い。
　好きな人はキミなんだから。

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