26 彼女 ページ26
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いつも通り授業が終わって、なんとなくで後ろの席に話しかける。変哲もない疑問とその会話に私は日常を感じる。ぼやっと思い付いただけのものを彼に投げかけた。
「蛍って彼女いないの？」
「……は？」
素朴な疑問に顔を歪ませる。この前、昼休みに盛り上がった蛍の話題に、ポンと彼女というワードが出てきた。彼女らは彼を推していた割には「もしかして彼女いるのかも」なんて根拠の無い話をしだしたから私に放り投げてきた訳だ。
そんなただの疑問も日々を過ごしていたら忘れてしまうもので、今の今まで頭からすっかり抜けてしまっていた。ふと思い出したそれに彼は途端端正な顔を崩して間抜けに見える。
「いや、モテるじゃん蛍って、だから」
その続きを言う前に、なにか思うところがあるのか眉をひそめて私の言葉を断ち切った。
「……僕に彼女いたら、どうなの」
……どう？
一瞬思考が止まる。
どうなの……って何だろう。私かどう思うか、とかそんなことだろうか。
そう考えて結局わからずじまいで、私の目をじっと見る彼を逸らして。
「どうってなに？……どうともないけど」
呆気なく言った私に、あからさまに不機嫌な表情を見せる蛍はアンバランスで空気が読めない発言だったかなと思う。
冷たい目で見下ろす彼が分からなかった。
「……あっそ」
一言、それが答えだった。まだ教室に人がいる中で私と彼だけが妙に静かな空間にいるみたい。
山口くんが彼の名前を呼んで、私を無視するように何も言わずに去ろうとする。
彼の後ろ姿にもう一つの疑問を投げかけた。
「じゃあっ好きな人とかは？」
それも話題に上がった一つ、彼女たちに言われた私に課せられた疑問。ニヤケ顔の彼女たちが何を考えているか知りたくもなかったけど、「大丈夫だから聞いてみて」って。何が大丈夫なんだか……逆に友人関係を悪化させるものでしかない、と私は思った。
蛍は少しだけ振り向いて言う。
「……っ別にそんなやついないんだけど！」
「どうしたの？ツッキー」と急ぎ足で山口くんの隣を歩いた蛍が焦っていた。耳が赤い。
目をぱちくり、と。何だったんだあれ。そう思わざるおえない行動をしでかした彼に、呆然とする。
あ、バイト遅れるとリュックを背負って慌てて教室を出ると二人の姿はもう見えなかった。
「……へえ、そっか」
好きな人、いるんだ。
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辛 - 日本語化ちょいちょい変。てにをはもおかしい。無理に難しい言い回しわ使わない方がいいと思う。 (9月11日 12時) (
レス) @page26 id: 5015934a65 (このIDを非表示/違反報告)
む - めちゃくちゃ良かったです。他の作者様だと冷たかったり口が悪い月島が多いですが、このお話の月島は冷た過ぎず、他人に干渉し過ぎず距離感がちょうど良かったです。とても上手に表現していると思います。告白も月島からなのが良かったです。 (2021年4月18日 4時) (レス) id: be1d7978bd (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - むさん» 本当に長らくお待たせしました……！皆の感情にどう現実味を出すかたくさん考えていたのでそうやって受け取って貰い感無量です。全文私にとって嬉しく糧になるお言葉です。読んで下さり本当にありがとうございました！ (2021年2月10日 10時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
む - 更新楽しみにしていました！ 皆の心の動きがとてもリアルで、ツッキーはこんな子とこういう恋愛をするのだろうな、と胸にストンと落ちました。等身大の高校生なこの作品がとても好きです。 完結おめでとうございます！ (2021年2月9日 2時) (レス) id: 727df39cb7 (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - なづなさん» コメントありがとうございます！テーマとしている高校生感を感じ取って下さりとても嬉しいです……！ゆっくりですが完結までついてきて頂けると有難いです。応援ありがとうございます！ (2020年5月11日 21時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KOMORE | 作成日時：2020年1月14日 22時
