21. ページ21
.
『増田さんのお店手伝わせてもらってるし、一緒に帰ってもらってるし、十分頼ってるつもりだったんですけど…』
「ぜーんぜん。もっと何でも言って？」
何でも…って。
増田さんにしてほしいこと…
あ、そうだ。
「いつからこの状態だったの？」
『結構前です。2か月とか3か月とか』
ずっと切れっぱなしだった2階の廊下の電球の交換をお願いした。
私が椅子に乗って背伸びしても惜しいところで届かなくて、そのうち2階の廊下は暗いのが当たり前になって来て、交換しようとすらしなくなっていた。
あっさり交換を終えて増田さんが椅子から降りる。
『うわっ。明るい』
むしろ眩しいとすら感じる。
「てか、今まで真っ暗すぎでしょ」
『うーん。もう慣れちゃってました』
「もっと早く言ってくれてればよかったのに。
でも、おかげで初めて2階来た。ここがAちゃんの部屋？」
増田さんが目の前のドアを指さす。
そうだよね。増田さん、2階に来る用事ないもんね。
『そうです。何もないですけど、いつでも遊びに来てください』
大して深い意味なく言ったけど、増田さんは意外に食いついた。
「え？ほんとにいいの？」
『はい』
「じゃあ今お邪魔していい？」
今！？
『掃除してないので、今日は勘弁してください』
「えー？ダメなの？」
『じゃあ、見るだけなら…』
ドアを開けると増田さんは、おおっと声を上げる。
「全然綺麗だし、Aちゃんぽいかわいい部屋。いつもあのクマと一緒に寝てるの？」
『恥ずかしながら…』
ベッドの上のクマの抱き枕を見られてしまった。
「なんで？かわいいじゃん。
見せてくれてありがと。俺の部屋にもいつでも来ていいからね」
2人でリビングに戻る。
結局こうしてリビングで一緒に過ごすことが多いから、お互いの部屋に行くことなんてなかなか無いと思うけど。
増田さんが初めて2階に来たってだけで、少し距離が縮まった気がしていた。
───
それから1週間。
あれ以来全く音沙汰無くて、なんならもう来ないんじゃないかくらいに思い始めていた頃、彼女は新たなアイテムを携えてお店にやってきた。
「このアクセサリー、私の手作りなんです。
良かったらこのお店に置いてもらえませんか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり(プロフ) - まりんさん» 最後までお読み頂きありがとうございました。新作upした際にはまたお付き合いください(*ﾟ∀ﾟ*) (2019年6月22日 23時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まりん(プロフ) - まりさん、可愛くって素敵なお話をありがとうございました。体調崩されていたのに早々にお話進めて下さって…本当にお疲れ様でした。またいつか素敵なお話に出会える時を楽しみにしています。 (2019年6月22日 23時) (レス) id: 1ea6e87bfb (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - まりんさん» 嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)なるべく毎日更新目指して頑張ります！これからもお付き合い頂けたら嬉しいです( *^艸^) (2019年6月22日 20時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まりん(プロフ) - 毎日更新ありがとうございます。楽しませてもらってます…今回の、可愛すぎて泣けちゃいました。楽しみだけど無理のないように更新されてくださいね。 (2019年6月22日 14時) (レス) id: 1ea6e87bfb (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ウィローさん» コメントありがとうございます(^-^)毎日更新と言ってもちょっとずつなんで、大したことはないですよ。といいつつ、何日もサボってしまいました(^-^;これからもよろしくお願いします♪ (2019年6月7日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり
| 作成日時：2019年5月19日 0時
