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『シゲくん。またシゲくんとここに来たいな』


翌朝
海の方から差し込む朝日で目を覚ますと、シゲくんもうっすらと目を開ける。

ベッドの中で抱きつくと、シゲくんは優しく髪を撫でてくれた。


「いつでも連れてきてあげる。俺もAとまた来たい」

一晩一緒に過ごすうちにAちゃんからA呼びになっていた。



「そろそろ起きる?朝食前に一緒にお風呂入ろっか」

『うん』


「大好きだよ、A」

起き上がる前にシゲくんは私の額に軽くキスをした。









――――――――――――――――――――



「ほんと、ごめん。
いつもほとんど家に居るのにこんなときに限って。マジで一緒についてって荷解きまで手伝うつもりでいたのに」

『全然大丈夫だよ、1人で出来るし。シゲくんもお仕事がんばってね』




引っ越しの日。

シゲくんは今日と明日、全国の書店を回って新作出版記念のサイン会をすることになっていた。



「向こう着いたら連絡して?明後日顔出すから」

『うん、わかった』


明後日なんて、まだダンボールが積まれた状態でバタバタしてるんだろうけど、なるべくすぐ会いに来てくれようとするシゲくんの気持ちも嬉しいし、何より私もシゲくんの顔が見たい。





「じゃあ、俺そろそろ行くわ」

『うん、いってらっしゃい』

「いってきます。
Aも。いってらっしゃい」



引っ越し屋さんが来る少し前に、シゲくんは慌ただしく出かけて行った。

シゲくんを見送って、すっかり片付いた部屋に戻る。


あの時シゲくんが急にやってきて、ここでじーっと覗いてたな。

ドアののぞき穴さえ名残惜しくなってきて、そっと撫でる。


それが始まりだったんだよね。

職場に近いことしかメリットがない物件だと思ってたけど、お隣にあんな素敵な人が住んでたなんて、最高の物件だった。


次はどんな人がこの部屋に来るんだろう。

シゲくんに一目惚れしちゃうかもしれないから、男の人だったらいいな。





インターホンが鳴り、モニターに二人組の引っ越し屋さんが映し出される。

私一人分の荷物はあっという間に全部運び出されて、部屋は空になった。




じゃあね、シゲくん。
いってきます。



心の中でシゲくんの部屋に向かって声をかけて、マンションを後にした。

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まり(プロフ) - ぽ わ た す 。さん» コメントありがとうございます(*^^*)読者の方には主人公に自分を重ねて読んで頂けたら、と思って書いていたので嬉しいです(*^ω^*)これからも引き続きよろしくお願いします! (2019年3月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ わ た す 。(プロフ) - 初めまして!情景が本当に浮かんでウキウキしながら読んでました!主人公の自信の無い感じとか自分に重ねたり、としていましたが、本当にいい作品です!次作も読もうと思うので楽しみにして待ってます(≧∇≦) (2019年3月19日 23時) (レス) id: 1a6840d4ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ゆっちゃんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです(>ω<〃)〜引き続きお付き合いよろしくお願いします! (2019年3月19日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - シゲ担なんでこれ読むたびにキュンキュンしますww 他の3人のも読もうと思ってます!お疲れ様でした!頑張って下さい(о´∀`о) (2019年3月19日 23時) (レス) id: cfad8bd8ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます(*^^*)何回も読んで頂けてるということで、とっても嬉しいです(o´艸`)これからも引き続き宜しくお願いします。 (2019年3月2日 14時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まり | 作成日時:2019年2月14日 0時

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