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「それにしても、急に決まったわけ?転勤て」
私を腕の中から解放してシゲくんが顔を覗き込む。
改めてこの状況でこんな間近で目を合わせるのは物凄く恥ずかしい。
目の前のこの人が私の彼氏、なんだよね?
『転勤かもっていうのは前から言われてて。
でもやっぱり嫌で。やっぱり無しっていう僅かな望みにかけててシゲくんには伝えてなかったんだ』
「うん。まぁ俺も転勤しないでくれた方が有難いんだけど…
告白ついでにもう一個告白しちゃおうかな」
そう言っておいて、腕時計を確認してシゲくんが立ち上がる。
「そろそろ行こっか。続きは車で」
差し出された手を握ると、優しく引っ張って立たせてくれる。
そのまま手を繋いで駐車場まで移動した。
車に乗り込むと、シゲくんはどこかにナビをセットする。
「それじゃ、行きますか」
ちゅっ、と不意打ちのキスを落として、ゆっくりと車を発進させた。
「Aちゃんによく言われてたけどさ。なんで俺がずっとあのマンションに住んでるかって…」
『うん』
家でお仕事していて本とか資料をいっぱい持っているシゲくんにはあのマンションは狭すぎて、シゲくんは気に入ってると言っていたけどシゲくんがあそこに住むことのメリットが全くわからなかった。
「隣に引っ越してきたコがめちゃめちゃ可愛くて気になっちゃって。…いや、もう好きだったんだけど。
でもその人には背の高い彼氏がいて、いつも彼氏が遊びに来ると2人ですごく楽しそうにしてて…
俺も彼女出来たけど上手くいかなくてすぐ別れて。
そしたら、そういや隣の彼氏も最近見かけないな。もしかしたら別れたのかなって」
自分の事を言われているのだとすぐにわかった。
でも、そんなに前から私の事見てたなんて。
私はお隣の人、イケメンだなーくらいにしか思ってなかったのに。
「もしかして引いちゃった?やっぱり付き合えない、とかなる?」
赤信号で止まったタイミングでこちらをみたシゲくんの表情は少し不安そうに見える。
『ううん。そんなことないよ。
ただ、そんなに見られてて、私変なことしてなかったかなーって』
「してないしてない。
ってか、さすがにずっと監視してたとかじゃないからね?
今日は会えるといいな、くらいの感じで…」
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まり(プロフ) - ぽ わ た す 。さん» コメントありがとうございます(*^^*)読者の方には主人公に自分を重ねて読んで頂けたら、と思って書いていたので嬉しいです(*^ω^*)これからも引き続きよろしくお願いします! (2019年3月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ わ た す 。(プロフ) - 初めまして!情景が本当に浮かんでウキウキしながら読んでました!主人公の自信の無い感じとか自分に重ねたり、としていましたが、本当にいい作品です!次作も読もうと思うので楽しみにして待ってます(≧∇≦) (2019年3月19日 23時) (レス) id: 1a6840d4ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ゆっちゃんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです(>ω<〃)〜引き続きお付き合いよろしくお願いします! (2019年3月19日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - シゲ担なんでこれ読むたびにキュンキュンしますww 他の3人のも読もうと思ってます!お疲れ様でした!頑張って下さい(о´∀`о) (2019年3月19日 23時) (レス) id: cfad8bd8ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます(*^^*)何回も読んで頂けてるということで、とっても嬉しいです(o´艸`)これからも引き続き宜しくお願いします。 (2019年3月2日 14時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年2月14日 0時