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ちょうど一階で停止していたエレベーターに乗り込む。
扉が閉まり上昇し始めたのを確認してから、掴んでいた手を離した。
「大丈夫。セキュリティは万全だから、入ってこないよ」
エレベーターが閉まる寸前、Aちゃんはマンションの入り口を不安そうに見ていた。
エレベーターを降りて部屋の前まで来ると、Aちゃんは一歩下がってドアから離れる。
「どうした?遠慮しないで入りなよ」
『でも…いいの?』
「いいに決まってるでしょ。ここまで連れてきて、はいさようならーとか言わないから」
ドアを開けてそっと背中を押すと、
『ごめんね。おじゃまします。』
ペコリと頭を下げて、部屋に入った。
「まぁ、適当に座ってよ」
Aちゃんをソファに座らせてから、冷蔵庫を開けてみる。
何もねぇんだよなー、ウチ…
とりあえず、ペットボトルのウーロン茶を出してグラスに注ぐ。
「それにしても、ひさしぶりだねぇ。10年以上ぶりだよね?」
あの時と変わらず、綺麗な黒髪の後ろ姿に話しかけると
『そうだね』
振り向いて頷いた。
ウーロン茶のグラスを2つ運んで、Aちゃんの右隣に座る。
ほんと、右側から見た横顔もあの時のままなのに。
左目の大きなアザが甦りかけてるあの頃の気持ちから、一気に今の現実に俺を引き戻す。
Aちゃんは高校の同級生で、当時からめちゃめちゃ可愛くていいコで、俺は3年間ずっと片思いしてた。
Aちゃんにはイケメンで頭のいい彼氏がいて、俺は一番後ろの席から華奢な後ろ姿と隣の友達と談笑してるときのキレイな横顔を眺めていただけ。
自分の気持ちを伝えることすら出来ずに卒業を迎え、それ以来一度も会っていなかった。
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まり(プロフ) - おおぞらさん» コメントありがとうございます(*´ω`*)次回作も引き続きよろしくお願い致します。 (2018年12月15日 9時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
おおぞら(プロフ) - 連載お疲れ様です!とても面白くて毎回楽しみにしていました!次回作が楽しみです! (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4a9296845e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2018年11月11日 21時