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「てか、どこで聞いたの?
俺が具合悪いって」
『叔父さんから。
スタイリストの人に聞いたって言ってた』
「あー、なんとなく分かった。
でも、ほんと助かった。何気に1人で心細かったし」
『そういう時って、お母さんとか呼ばないの?』
「呼ばないでしょ、この歳になって」
うーん、そうか。
増田さんはそうかも。
私は一緒に働いてることもあるけど、熱なんか出したらすぐ母に連絡して来てもらっちゃうな。
「それに…
いや、やっぱり帰ってからちゃんと話す」
うわー、なんだろう。
めっちゃ気になる。
早く増田さんちに行きたいような、まだ行きたくないような。
結局それで頭がいっぱいになっちゃって、あまり運転してる増田さんを堪能出来なかった。
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「まずは、これ。俺からのプレゼント。
昨日のお礼も兼ねて…」
増田さんはさっきの花束を差し出してくる。
「あと、ケーキあるよ。
A、こういうの好きでしょ?」
そう言って、白い箱を開けてフルーツがいっぱいのケーキをお皿に乗せた。
『なんか、誕生日みたい』
明るく振る舞ってケーキを食べるけど、正直ほとんど味なんてわかんなかった。
もちろん、このままケーキ食べて世間話してさようならではない事はわかってる。
「俺、熱出すこと自体、滅多にないんだけど…」
『うん』
ケーキを食べ終わったタイミングで増田さんが話し始めた。
「体調崩して仕事キャンセルしちゃったのって初めてで…めっちゃ凹んだ」
そりゃそうだよね。
お仕事大好きだもんね。
「でも、昨日は熱出して良かったかもって思った。
そうじゃなきゃ、もうAと会えなかったかもしれないから」
心臓がトクンと音を立てた。
「AがNEWSのファンだったって知って、考えてみたらAが黄色い物ばっかり持ってたのに、なんで今まで全然気付かなかったかな、って。結構ショックで…
しかも、それ知ったらこの関係続けちゃダメだよな思って」
『うん…本当にごめんなさい』
「もう会わないって思ったんだけど、結局いつもAのことばっか考えてるんだ、俺。
Aが黄色い服着て東京ドームで写真撮ってたやつ、ずっと頭から離れなくて。めっちゃ可愛いんだもん、A」
あれは、本当に忘れてほしい。
「会わないって決めたのに、会いたかった。
近くにいてほしいって思った」
なんでだろう。
嫌なこと言われた訳じゃないのに、涙が出てくる。
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まり(プロフ) - なつさん» コメントありがとうございます!尊敬なんて、おそれ多いです^^;これからも毎日更新頑張ります☆ (2020年7月26日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 初めまして。いつもよませていただいてます。わたしも書き手ですが、まり様は内容が面白いだけでなく毎日更新もされていて尊敬するばかりです!これからも応援しています! (2020年7月25日 2時) (レス) id: 0189702ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2020年7月2日 2時