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──side YOU──
『先生…どうしました?』
「飯、食ってないっしょ。上がっていい?」
『…どうぞ』
先生は部屋に上がるなり、キッチンに直行してコンビニのレジ袋から食材を取り出す。
「コンビニでちゃちゃっと買ってきたやつだから簡単なのしか出来ないけど…すぐ出来るからちょっと待ってて」
なんで先生が来たのかも、なんで急にお料理始めたのかも全くわからないまま、言われた通り部屋で待ってると、数分後、お皿を2人分持って先生が現れた。
『先生も食べてなかったんですか?お昼』
違う違う。
聞きたいのはそこじゃないでしょ。
心の中で自分にツッコミを入れながらも即興で作ったとは思えないクオリティのカルボナーラ風うどんを食べる。
全然お腹空いてないつもりだったけど、そんな事無かった。
「昼っていうか、朝から何も食べてなかったな」
あ、同じ。
先生も昼過ぎまで寝てたパターンかな。
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「A」
『はい』
「とりあえず、座って?」
お皿を洗って戻ると、先生はさっきまで私が座ってた所を指差す。
一瞬お説教でもされるのかと思ったけど、先生は優しい顔をしていた。
「菫のとこに行ってきた。来週、転院なんだって」
『そうなんですね。
近いんですか?先生、面会行くの大変になっちゃいますね』
こないだの伊東さんとのやり取りを思い出した。
菫さんは、これで伊東さんとは会わなくなるんだろうか。
ところで菫さんの記憶は結局どうなんだろう。
「行かないよ。菫とは別れた」
『は?』
全く予想してなかった答えが帰ってきた。
「俺が好きなのは、今一番そばにいたいのはAだから。
だから、菫との関係はちゃんと終わりにしてきた。
本当ならこれを一番先にするべきだったんだけど…」
『でも、菫さんは…』
嬉しいはずなんだけど、療養中の菫さんから先生を奪ってしまったという後ろめたさがあって素直に喜べない。
「大丈夫、菫もちゃんと納得してたから。
てかあいつ、既に伊東とくっ付いてるし」
あ、やっぱりそうだったんだ。
てか先生も知ってたんだ、それ。
「俺と付き合ってくれる?」
『私、ただの事務員ですよ?
菫さんはお医者さんなんですよね』
何気にこれがずっと引っかかってた。
まぁただの僻みなんだけど…
「Aって、俺に負けず劣らずネガティブ思考だな」
先生が苦笑いして両腕を広げる。
「いいから。おいで、A」
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まり(プロフ) - ゆんさん» 最後までお読み頂きありがとうございました(*^^*)今後もお付き合い頂けたら嬉しいです! (2020年5月25日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - まりさんの書くお話が大好きで毎回とても楽しみにしています!今回もドキドキしたりちょっと胸がツンとしたり素敵な時間でした!ありがとうございます! (2020年5月25日 12時) (レス) id: 32c7b28952 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 彩耶さん» いつもありがとうございます☆今作も最後までよろしくお願いします(*^^*) (2020年4月30日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
彩耶(プロフ) - 新作おめでとう。最後まで楽しく読みます☆ (2020年4月29日 17時) (レス) id: 357029ce8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2020年4月29日 2時