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バタン、と校舎に続く扉が閉まる。
あれ、なんだ?
白い紙切れが1枚、ひらりとドアの前に落ちた。
慌てて走って落としちゃったのかも。
風で飛ばされる前にと、急いで駆け寄ってその紙を捲った瞬間、驚きに包まれた。
「これって、俺だよな…」
それは、鉛筆だけで丁寧に描かれた俺の似顔絵だった。
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「あれ?手越くん。どうかしたの?」
エマの友達の…名前なんだっけ?
A組の教室を覗いていたら声を掛けられた。
さっきのあのコは窓際の1番前の席で本を読んでいた。
「あー…あのさ。
あのコ、名前なんて言うの?」
「え、誰?もしかして、Aさんのこと言ってる?」
Aさん、て言うのか。
聞いた事あるような無いような…
「てか、手越くんがAさんに何の用?」
「んー…ちょっと、落とし物?」
「じゃあ、渡しとくよ」
「いや、やっぱいいや」
エマの友達は変な顔してたけど、そのまま自分の教室に戻った。
席に着いて、こっそりさっきの紙を広げる。
なんで、俺の絵?
てか、これを俺が拾ったって知らないよな。
「祐也、どこ行ってたの?」
エマが近付いてきて、慌てて机の中に押し込むと、微かに嫌な音が聞こえた。
やべぇ。
グシャってなったかも。
「学食」
「嘘。いなかったよ」
「いたいた」
多少無理のある嘘だったけど、チャイムと同時に数学の教師がやってきたので話はそこで終わった。
「フットサル終わってからでいいから、来てよ?」
早口でそう言って、エマは自分の席に戻って行った。
「気が向いたらな…」
そう返したけど、多分聞こえてないと思う。
そっと机の中から絵を取り出して、手でシワを伸ばそうと、何度も撫でた。
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なのはなさいた(プロフ) - 初めて読ませて頂きました!すごく面白いです!楽しませていただいてありがとうございます!! (2020年6月5日 0時) (レス) id: 9a9c48371e (このIDを非表示/違反報告)
ラーク(プロフ) - 大変失礼致しました。 (2020年5月9日 20時) (レス) id: bda1f630a7 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ラークさん» 申し訳ありませんが、そちらの作品は私の作品ではございません。 (2020年5月9日 18時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ラーク(プロフ) - こちらからすみません。Secret Love、シゲアキ先生と恋をします、のパスワードを教えていただけますか?よろしくお願いします。 (2020年5月9日 17時) (レス) id: bda1f630a7 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 彩耶さん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました!また機会があればよろしくお願いします。 (2020年3月10日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2020年2月10日 13時