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「シゲくんにお弁当作ってあげるよ」
「いいよ…」
ほんとにめんどくせぇな、来週から。
食事を終えて個室から出たところで、見覚えのある数人と鉢合わせた。
「あ、お疲れ様です」
マジか。
最悪。
それはうちの女子社員たちで、俺と社長と菫の3ショットを驚いた様子で見ていた。
次の出社時、社長の娘が俺の婚約者という噂が既に広がっていたのは、彼女たちの仕業だろう。
「じゃあ、シゲアキ。来週から菫をよろしく」
「バイバイ、シゲくん」
店の前でタクシーに乗り込んだ2人と別れて、俺は何故か会社の方に向かって歩き出した。
無性にAに会いたくなった。
がっつり仕事を押し付けて来てしまったが、流石にこの時間はもういないか…
いや、いんのかよ。
3階の一番端の窓に灯りを確認して、企画課のオフィスに向かった。
「いつまでやってんだよ…」
真剣にパソコンに向かってる姿も、俺を見てめっちゃビックリしてるとこも…
こいつこんなに可愛かったっけ。
あー。相当酔ってんのかな、俺。
──『シゲくん、お弁当作ってきたよ』
いつの間にか眠っていて、変な夢を見ていた。
完全にさっきの菫と今ここにいるAがごっちゃになっていた。
『課長?私そろそろ帰りますけど』
不意に声をかけられ、現実に引き戻される。
なんだよ、シゲくんて呼んでくれねーのかよ。
「課長って呼ぶのやめてくれない?」
何言ってんの、俺。
自分でそう思った。
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翌週。
出社して一仕事した後、そろそろ菫が来る頃かと一階のロビーに向かうと、目に入ってきたのは菫と一緒にいるAだった。
『あ、企画課のAです。
営業三課は隣なので一緒に行きましょう』
「企画課…」
マズい。
菫が変なこと言い出すかもしれない。
「お前はいい。俺が案内する」
唖然とするAを置いて、菫を連れてエレベーターに乗り込んだ。
さっきのが気になってるのか、それとも変な噂でも聞いたのか、Aは仕事に集中出来てない様子だった。
昼メシでも奢ってやるか。
先週も遅くまで残って頑張ってたし。
コンビニで買ってきたから、と渋る彼女を無理に誘って、何食うかなーなんて考えてたら、まさかの横槍。
「シゲアキさん。
今日、お弁当作ってきたんです」
シゲくんはダメだけどシゲアキさんはOK。
なわけねーだろうが。
この一件が、俺の次期社長説と社長の娘が婚約者説を濃厚にさせてしまったらしい。
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まり(プロフ) - 花希音*☆さん» コメントありがとうございます(*^^*)最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2020年2月10日 1時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - とくこさん» 最後までお読み頂きありがとうございました(*^^*)また別の作品でもお付き合い頂けたらと思います! (2020年2月10日 1時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
花希音*☆(プロフ) - きゃっ!!好きです!このお話! (2020年2月8日 7時) (レス) id: e44d981289 (このIDを非表示/違反報告)
とくこ(プロフ) - 初コメント失礼します。完結お疲れさまでした!わくわくしながら読むのが日課だったので"完結"の文字がなんだか少し寂しく感じました。ありがとうございました! (2020年2月8日 2時) (レス) id: 5750580c47 (このIDを非表示/違反報告)
NEWSLove萌(プロフ) - はい!加藤さんと結ばれることも応援してます!頑張って下さい! (2020年1月31日 21時) (レス) id: 0c8bb4e7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2020年1月5日 21時