ΨBootis☆Y☆ (ページ6)

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Aさんがたまに来ると言うシーフードレストランで食事をした。

お互いの仕事のこととか、Aさんのこっちでの生活のこととか、結構話が弾んだ。

「ところで、彼氏はいるの？」

しばらく話してお互いほとんど敬語が出なくなるくらいに打ち解けた頃、一番気になってたところに触れてみた。

Aさんは首を横に振って、

『いたら手越くんと二人でご飯なんか来てないよ』

って笑った。

『そういう手越くんは？』

「俺も、いないよ」

そう答えたら、『そうなんだ。カッコいいのに』って独り言みたいに呟いた。

仕事柄もあって、カッコいいというのはまあまあ言われ慣れてるけど、今Aさんがさりげなく言った『カッコいい』は格別に嬉しかった。

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俺が伝票を手にした時はそんな素振り見せなかったのに、車に戻るとAさんはバッグから財布を取り出した。

日本じゃそういうのは支払い前にするもんだけど、この国じゃ男に支払わせてプライドを守ってくれるものらしい。

それで良かったのにAさんは2人きりになると、半分払うとか言い出すから断った。

「昨日のお礼もしたかったし、俺が払うつもりで来たから」

そう言うと

『じゃあ、お言葉に甘えて…
ごちそうさまでした。次は私が払うから』

って、財布をしまった。

次は…。

次っていつだろう。

俺は明後日この国を離れる。

その後再び会えるのは、いつどこでなのかな。

「もっと一緒にいたいって言ったら、まだ付き合ってくれる？」

思い切ってそう言うと、Aさんは頷いてくれた。

一度Aさんのマンションに戻り車を置いて、近くのバーに入った。

店の人とは顔見知りらしく、入口で少し言葉を交わしてからAさんは一番奥のテーブルを目指した。

『弟かい？って聞かれちゃった。
私以外の日本人が来ることなんてないから』

すぐにビールが運ばれてきて、2人で小さく乾杯した。

「で、なんて答えたの？」

『友達だよって。ダメだった？』

「全然。むしろ嬉しい」

昨日はじめましてで、さっき初めて飯行って、今友達なら上出来だわ。

そうなんだけど、

友達で十分。なはずなんだけど…

どこか物足りなさを感じたのは正直なところで、Aさんと一緒にいればいるほど、話せば話すほど、2日後日本に戻りたくないという気持ちが大きくなっていた。