ΨBootis☆Y☆ (ページ4)

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ホテルに到着してチェックインを済ませると、スタッフ達とは別れてすぐに自室に籠った。

車の中で色々考えたけど、迷うなんて俺らしくない。

電話したい、Aさんの声を聞きたいって思ったから、名刺の番号をタップした。

だけど、Aさんは出なかった。

留守電にも切り替わらなくてメッセージを残すことも出来ずに、呼び出し音をしばらく聞いてから電話を切った。

最初に会ったとこがマンション前だったから、真っ直ぐ帰ってればとっくに家に着いているはず。

気付いてないだけなら、折り返してくれるっしょ。

もしくはどこかに行ったか、誰かといるか…

まぁ恋人がいたって全然不思議じゃないもんな。

スマホをソファに置いて立ち上がった。

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シャワーを浴びて戻ると、スマホの通知ランプが点滅していて、服も着ずに慌てて手に取る。

画面には、不在着信の文字が表示されていた。

5分前にかかってきたという履歴と名刺を見比べると、番号が一致する。

タイミングわりー。

シャツを着つつ再び掛け直すと、今度はすぐにAさんの声が聞こえてきた。

『はい…』

「手越です」

『ああ、やっぱり…
ごめんなさい。さっき、気付かなくって』

「いや、俺も出られなかったし。シャワー浴びてて」

『じゃあ、無事にホテルに着いたんですね』

いっぱい言いたいことがあった。

まずは声を掛けてくれたこと。
スタジアムまで送ってくれたこと。
サングラスを届けてくれたこと。
スタッフが来た時の対応。

まぁ全部まとめて「ありがとう」ってことなんだけど。

「もう1回会えないですか？やっぱちゃんとお礼したいです」

気が付いたらそう言ってた。

『お礼なんていらないです』

やっぱりそう言うか。
と思ったら

『でも…もっとお話したいです』

少し遠慮がちに、そう言った。

よっしゃ。

誰も見てないけど、一人で小さくガッツポーズしてしまった。

「明日の夜会えますか？
今ぐらいの時間か…もう少し早いかも。
また明日。俺から連絡するから」