ΨBootis☆Y☆ (ページ2)

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数分後、俺は彼女が運転する車の助手席に座っていた。

実は俺がいた場所の目の前が彼女のマンションで、今帰ってきたとこで、スタジアムの方に買い物にいくつもりだったから、という彼女の言葉に素直に甘えてしまった。

『え、嘘。
ごめんなさい。大学生とかかと思って…』

俺の年齢を知ってめっちゃ驚く彼女は、Aさん、という名前で、日系企業のこっちの子会社に出向しているらしい。

「いや、30代に見えないってのはよく言われるんで。俺、一応テレビとか出てるんです」

こっちにきて3年なら、知ってるんじゃ…

ちょうど日も暮れてきたし、信号で停車したタイミングでサングラスを外す。

『あー、見たことあるかも。
えーと…ジャニーズの…』

「NEWSの手越です」

『そうだ。手越くん』

笑顔で頷いて、Aさんはまた前を向いて車を走らせる。

『じゃあ、もしかしてお仕事？』

「サッカーは完全にプライベートですけど、こっちに来てるのは仕事で」

『一人で観に行くの？』

「一緒に行くはずだったスタッフが行けなくなっちゃったんで。
あ、良かったら一緒にどうすか？」

スタッフの分のチケットも俺が持ってるんだった。

だけど、

『ごめんなさい。
サッカーはあまり興味が無くて…』

さらっと断られてしまった。

『ここから入ればいいみたい』

送ってもらっただけでもかなり有難いのに、Aさんは一緒に車を降りてゲートの入口までついてきてくれた。

「ほんとに助かりました。
なんかお礼しねーとな…」

『いいです、そんなの。
私も久しぶりに日本の人とお話出来て楽しかったから。
まだ、何日かいるんですよね？』

「そうっすね。一応あと3日…」

じゃあ…と、Aさんはバッグからカードを一枚取り出した。

『こっちにいる間、何か困ったことがあったらいつでも連絡ください』

それはAさんの名刺で、会社の住所と電話番号、メールアドレスの下に携帯番号らしきものも載っていた

「助かります」

『じゃあ、楽しんでくださいね』

最後にとびっきりの笑顔を振りまいて、彼女は立ち去った。

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「こっちもひと段落したから、試合が終わる頃に迎えに行く」

ハーフタイム中にスタッフから連絡が来ていたので、指示されていた通りスタジアムの入口前で迎えを待っていた。

『手越くん』

俺の名前を呼んで駆け寄ってきたのは、ガタイのいい男性スタッフではなく、何故かAさんだった。