ΨBootis☆Y☆ (ページ1)

今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:25,220 hit

1. ページ1

.

「本当に大丈夫？」

「大丈夫大丈夫。この辺は治安いいし」

「何かあったらすぐ連絡してよ？」

「おーけー。じゃあ、お疲れー」

スタッフは不安げながらも車に乗り込み、俺を残して走り去った。

ヨーロッパの某都市。

番組のロケで来ていた。

今日はロケが終わった後でサッカーの試合観戦に行く予定だったが、明日のロケの事でトラブルがあり、一緒に行くはずだったスタッフが行けなくなった。

イコール、サッカー観戦は中止、となりかけたけどスタッフについてったところで俺に出来そうなことは特にないし、何よりめっちゃ楽しみにしてたし、一人で行くと言った。

そんなの事務所にバレたらヤバいって当初スタッフは首を横に振ったけど、絶対大丈夫って押し切った。

日本と同じくらい治安がいい街だし、俺のカタコト英語でも何とか通じる気がするし、何よりタブレットがあれば何も怖いもの無し。

さて、さっそくスタジアムに行くか。

と思ったけど…

タクシー、いねぇな。

少し立ち止まって待ってみたけど、タクシーは一台も通りかからない。

まぁ別に地下鉄でもバスでもいいけど…

とはいえ、見える範囲にはバス停も駅も見当たらない。

でも割と街の中心部に近いとこにいるし、その辺にバス停くらいあるはず。

早速タブレットの出番。

道の脇に腰掛けられるスペースを見つけてリュックからタブレットを取り出す。

あ、やっぱすぐ近くにバス停あるわ。

なんならもう少し行けば駅も。

でも、どっちだ？

これがあっちで…

タブレットの向きをあちこち変えて、目の前の道と地図を照らし合わせる。

「わっかんねぇ…」

思わずそう声に出した時、目の前で女の人が立ち止まった。

『日本人？どうかしました？』

黒髪に自然な日本語で、一瞬ここが東京かと錯覚した。

『あ、急にごめんなさい。日本語が聞こえたからつい反応しちゃって…』

「日本の方、ですか？」

『そうです。3年くらいこっちに住んでますけど』

確かに、スーツ姿だしこっちで仕事してる風。

つーか、めっちゃ綺麗なお姉さんだわ。
頭良さそう、仕事も出来そう。

だけど、気が強そうとかは全然なくて、優しそうな人だと思った。

「バス停か駅に行きたくて…」

とりあえずタブレットの画面を見せてみる。

『どこに行くんですか？』

「スタジアムです」

サッカーの試合があることを伝えた。

『送りましょうか。私の車で』

異国で女神に出会ってしまった。