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『あの…』
「あ、はい?」
彼女の事を考えるまいとスマホに意識を集中させていたら、たまたま面白い記事を見つけてしまい、いつの間にか読みふけっていた。
それなのに、奇しくもその彼女から突然カウンター越しに声をかけられ、再び俺の頭の中は彼女一色になる。
『あ、ごめんなさい。今大丈夫でしたか?』
「あー、全然」
スマホをテーブルに置くと、食パンの塊を差し出された。
『パン、お好きですか?良かったらこれ…』
盗み聞きがバレるので、あー、例の3斤の…とは言えなかった。
「こんなに?どうしたんですか?これ」
「発注間違っていっぱい来ちゃったんだよねー。
もう1人の。小山くん?はパン好きみたいだったけど。加藤さんも嫌いじゃなかったら持って帰ってよ」
マスターがキッチンから顔を出す。
確かにこないだ、小山は撮影後にフルーツサンド食べてたもんな。
「俺までもらっちゃってもいいんですか?」
『ぜひ。私の分、半分もらってくれないかなーって思って』
つまり今目の前にあるこれは、1.5斤の食パンてことだ。
「じゃあ。すいません、いただきます。
オススメの食べ方とかって、あります?」
「明日までならそのままで十分美味しいよ。
明後日はトーストかな。余った分は冷凍しとけばいい」
「わかりました。そうします」
『加藤さんも、ひとり暮らし、ですよね?』
「え?はい」
彼女からの急な質問の意味がよくわからないまま、とりあえず返事をする。
『じゃあ、半分ずつでちょうど良かったですね』
「あー!もしかして、NEWSの人じゃないすか」
「進藤」の急な横やりで会話が途切れた。
つーか、今更かよ…
まぁ確かに気づいてる感じでは無かったけども。
「てか、何?
マスターとAさん、知り合いなんすか?」
進藤は、こないだの撮影のことは聞かされていなかったらしい。
そんなことより、加藤さん「も」ひとり暮らし…って。
この時間まで仕事してるってのもそうだし。
手越と同じ、左手の薬指のルールなんて特に気にしないタイプの人なのかも。
目の前で進藤が大騒ぎしてる間に、1.5斤の食パンは彼女の手によってどっかの雑貨店か何かの紙袋に入れられて、俺の横に置かれていた。
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まり(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます☆全部読んで頂いてるなんて、嬉しすぎます!温かいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります。 (2019年10月12日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 初コメですが、、以前から、コッソリとまりさんの作品大好きで、全て読ませて頂いております!低評価の件ですが、どうか気にする事なく、まりさん自身ムリのないよう更新頑張ってください!楽しみにしております(^^)/ (2019年10月11日 3時) (レス) id: 58f4b53075 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ○○さん» コメントありがとうございます☆私の作品を見つけて頂いてありがとうございます。だいぶ元気がでてきましたので、最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます☆年上彼女がマズかったのか、と悔いていたので少し安心しました。確かに、誰かが評価してくれると直後に低い点を入れられる、と言うのが続いていたんです…最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - りんりんごさん» コメントありがとうございます(^-^)温かいお言葉、励みになります。最後まで更新頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年9月20日 3時