2. ページ2
.
小山と2人で某番組のロケに出ていたが、スタッフのミスなのか店側の都合なのか、撮影に使わせてもらうはずだった店に入れずにロケバスの中で長いこと足止めをくらっていた。
「すいません。お待たせしました」
だいぶ待ったと思う。
時計を見ると、順調にいけばロケを終えて帰っているだろう時間だった。
「場所変更になります」
結局、当初の店はダメだったらしい。
その店の前を通過して、一本後ろの細い路地のこじんまりとしたカフェに連れてこられた。
【カフェORIHIME】
よく急きょこんなとこ見つけたな。
店側も心広すぎるだろ。
スタッフの後に続いて、小山と店内に入る。
「すいません、お邪魔します」
カウンター席に座る中年男性に頭を下げて店の奥に進むと、マスターらしき男の人が女の人と2人でテーブルを動かして撮影用のスペースを作ってくれていた。
ロケと言っても、カフェの取材と言うならまだしも、過去にとある問題を起こした人の話を聞く場所としての利用だったので更に申し訳ない。
「はい、どうぞご自由に使ってください。
こんな店、お客さんなんて来ないし、あの人は常連さんだから、気にしないで」
そう言ってカウンターの男性を指さす。
それ以上は何も言わずカウンターの方へ行ってしまったマスターに続いて、黒いエプロンの女の人もすぐにいなくなった。
「えー。めっちゃいい人すぎない?」
小山の言葉に俺もスタッフ達も頷いた。
.
すぐに撮影が始まった。
話をしながらアイスコーヒーを一口飲んだらあまりに美味すぎて、思わず「うまっ」と声に出しそうになった。
そこからはもう、申し訳無いけど撮影にはあまり集中できず…
俺の頭の中はこのカフェのことでいっぱいだった。
場所が悪いのか?
コーヒーは美味いし、店員の人柄もいい。
もっと人気があったって全然おかしくない。
俺、これから通っちゃおうかな。
でもこれがOAされたら少しは客足が増えてしまうだろうか…
いやいや、増えてしまうっていうのはおかしいよな。
店にとってはいいことだし。
店内を見渡してると、植木鉢に水やりしてる黒エプロンの女の人が目に入る。
目が合うと、軽くお辞儀して笑いかけてくれた気がした。
その瞬間、このカフェのことでいっぱいだった俺の頭の中は、彼女のことでいっぱいになった。
112人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます☆全部読んで頂いてるなんて、嬉しすぎます!温かいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります。 (2019年10月12日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 初コメですが、、以前から、コッソリとまりさんの作品大好きで、全て読ませて頂いております!低評価の件ですが、どうか気にする事なく、まりさん自身ムリのないよう更新頑張ってください!楽しみにしております(^^)/ (2019年10月11日 3時) (レス) id: 58f4b53075 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ○○さん» コメントありがとうございます☆私の作品を見つけて頂いてありがとうございます。だいぶ元気がでてきましたので、最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます☆年上彼女がマズかったのか、と悔いていたので少し安心しました。確かに、誰かが評価してくれると直後に低い点を入れられる、と言うのが続いていたんです…最後まで頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - りんりんごさん» コメントありがとうございます(^-^)温かいお言葉、励みになります。最後まで更新頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まり | 作成日時:2019年9月20日 3時