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まだ寝る時間には早いし、ベッドに入ったところで全く眠くもならない。
それでもベッドの中でずっとモヤモヤしてたら、しばらくしてドアがノックされた。
『なに?』
母だと思い込んでぶっきらぼうに返事したら、
「ごめん、寝てた?」
ドアが少し開いて、慶ちゃんが申し訳なさそうに顔を覗かせた。
『どうしたの?』
慌てて起き上がってベッドの上に座る。
「ごめん、急に。電話通じなかったから…」
『あー、ごめん。充電切れてた』
とりあえず、スマホに充電ケーブルを差し込んだ。
「エクレア買ってきたよ」
慶ちゃんはコンビニの袋からエクレアを2つ出してテーブルに並べる。
「これ食べて機嫌直して?」
『機嫌?悪そう?』
「んー、なんとなく。ふて寝してたのかなって」
『別にそんなことないけど』
「なら別にいいんだけど。
まぁ、どっちにしろ食べようよ」
慶ちゃんは何もかも知ってるんじゃないかって思うことがたまにある。
優しすぎる慶ちゃんは、全部わかった上でそれでも知らないふりして付き合ってくれてるんじゃないかって。
だけど、知ってるよって言われるのが怖くて、絶対に聞けない。
「A、明日は朝から学校?」
『そうだよ』
「そっか。俺も。
じゃあ、そろそろ帰るね」
エクレアを食べ終わると慶ちゃんはすぐに立ち上がる。
ほんとに、一緒にエクレア食べに来ただけって感じ。
「思ったより元気そうで安心した。じゃあね」
そんなこと言って帰ってくから、またモヤモヤする。
───俺があの時彼女と別れたって言ってたらAはどうしたわけ?
小山と別れて俺のとこ来た?──
さっきの貴久の言葉が頭の中でループする。
ううん。別れたりなんかしない。
私が好きなのは慶ちゃんだもん。
そう自分に言い聞かせてスマホの電源を入れる。
『もしもし、慶ちゃん?』
ちょうどスマホをいじってたのか、慶ちゃんはすぐに出てくれた。
「どうした?」
『まだその辺にいる?』
「うん、まだAんちの近く」
『ちょっとそこで待ってて?
やっぱりまだ慶ちゃんと一緒にいたいな』
そのまま部屋を飛び出した。
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まり(プロフ) - 美雨さん» ありがとうございます(*^^*)次作以降もよろしくお願いします☆ (2019年9月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 亜紀さん» ありがとうございます(*^^*)またお付き合い頂けたら嬉しいです☆ (2019年9月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 完結おめでとうございます。次作も楽しみにしてます! (2019年9月19日 0時) (レス) id: 97a72a3edf (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!!また読みたいです (2019年9月19日 0時) (レス) id: e90def3f5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まり | 作成日時:2019年9月9日 0時