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「やだ。Aちゃんに何も言わないで行っちゃったの？
ごめんね。LINEで怒ってやって？」
慶ちゃんとの1泊旅行のお土産を届けに行ったら、貴久が昨日北海道に行ってしまったと聞かされた。
私が聞いてなかったと知って、貴久のママがすごく申し訳なさそうにしてる。
『じゃあ、貴久のパパとママで食べて。
これは…貴久が帰ってきた時にでも渡しといて？』
「ごめんね？ごちそうさま」
温泉饅頭とガラス工房で作ったグラスを渡して、貴久の家を後にした。
「嘘でしょ？引っ越しは今月末って言ってたじゃん」
家に帰って、貴久がいなかったことを電話で伝えたら、慶ちゃんもびっくりしてた。
うん。やっぱりそうだよね？
私も月末って聞いてたと思ったけど間違いないみたい。
『貴久が引っ越す日だって分かってたら、旅行の日程ずらせたのにね。
てか貴久、私達が一昨日と昨日で旅行行くこと知ってたよね？』
「うん。
あえて、昨日にしたのかな。
俺らがいない間に…」
『うん…』
それは、お別れを言うのが照れくさいから、とか…
気を遣ってほしくないから、とか…
もしかしたら、決心が鈍るから、とか。
貴久があえて私たちに会わずにいなくなった理由がいくつか思い浮かんだけど、いずれにしてもなんだか貴久らしい、と妙に納得できた。
でも、実家はこっちにあって両親がいるんだから必ず帰ってくるんだろうし。
早ければゴールデンウィーク。
夏になったらバーベキューしに戻ってくるかも。
そんな楽観的な私の考えはあっけなく崩れた。
「まさか今さら転勤なんてね」
「でも、栄転でしょ？」
「社長って言っても子会社の社長だし」
貴久のパパが4月から大阪に行くらしい、と母たちの会話から察することができた。
「先月までなら単身赴任にしただろうけど、もう貴久もいないし、私1人でここに残る理由もないかなって…」
つまり、貴久の家族はみんないなくなってしまう。
貴久がここに帰ってくる理由が何も無くなった。
「もう早速買い手が付きそうなの」
「寂しくなるわ…」
少しして、貴久のパパとママは家を売却して大阪に引っ越して、そのわずか3日後、30代前半くらいの夫婦と小さい子供2人の四人家族が貴久の家に引っ越してきた。
私はもちろん、年代が違うからか、母も貴久の家族の時みたいに深く付き合うことは無かった。
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まり(プロフ) - 美雨さん» ありがとうございます(*^^*)次作以降もよろしくお願いします☆ (2019年9月20日 0時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 亜紀さん» ありがとうございます(*^^*)またお付き合い頂けたら嬉しいです☆ (2019年9月20日 0時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 完結おめでとうございます。次作も楽しみにしてます！ (2019年9月19日 0時) (レス) id: 97a72a3edf (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！また読みたいです (2019年9月19日 0時) (レス) id: e90def3f5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2019年9月9日 0時
