52:有限 ページ6
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思わず隣にいる童磨の背に隠れる。それが更に兄の気を悪くしたらしい。
｢童磨、今夜はもうよい。下がれ｣
｢はーい。じゃ、またねA｣
『童磨ぁぁぁ...』
これ程この詐欺師を頼ったことがあっただろうか。否、ない。だってそれ程目の前の兄が怖いのだ。自分とよく似た顔なのに般若の面に見えるのは本当に気の所為だと思いたい。
童磨と別れ、マンションホールもエレベーターも一切の言葉も交わさず、それでも手を繋いでいるという珍風景だがエレベーターを降りて部屋に入った瞬間、これでもかと兄に抱きしめられた。
｢何故お前はそういつも私を不安にさせる？｣
『不安になった？でも黙って行ったのはごめんなさい。友達に誘われて初めてだったから、、その...』
｢A｣
歯切れの悪いAに抱きしめていた腕を緩め、目を合わせる。
嗚呼、そんな顔をするな。お前を怯えさせたいわけじゃない
『合コン、つまらなかったわ。にぃにとご飯食べる方が楽しいし、美味しいもの』
｢...そうか｣
『にぃにと話して、笑って、一緒にいる方が私は好きよ』
この可愛い妹は分かっていない
その言葉がどれだけ兄の心をくすぐり、かき乱すか。行動のひとつひとつがどれだけ兄を心配させるか、不安にさせるか。
妹と離れるのが一分一秒でも惜しい。
それでも、彼女を自由にさせるのは彼女を彼がーーしているから。
『あのね、にぃに』
｢どうした？｣
____________chu
｢！！......A！｣
『シャワー浴びてくるわ。ーーそれとも』
一緒に入る？
ニヤリ、と笑う彼女にはやはり敵わない。口吸いも同衾も何度もやってきたがこれは不意打ちだ。
｢ふむ、そうだな。あの軽そうな男に近寄ったのだ。綺麗にしなくてはな｣
『私からじゃないんだけどなぁ』
｢同じ個室に入った時点でアウトだ｣
『審査基準厳しいわ』
｢お前にはこのくらいが丁度良い。ーーA｣
『なぁに？』
もう私から、離れないでくれ
『...当たり前よ。でも厳しすぎたら分かんないよ？』
｢その時はお前が何処に行っても見つけてやる｣
もう二度と、離れないために。
人間という生命が有限な生き物に成り下がったこの兄妹。互いの存在が命とも言える中で、"人間"を知るというのはその命が尽きるまでの苦痛なのだ、と誰かが言った。
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しゃんぷー猫猫(プロフ) - ここさん» コメントありがとうございます。長い間手をつけれない状態が続きましたがゆっくり更新していきたいと思っています。今年中には必ず更新するので、それまで待っていただけたら嬉しいです。 (2020年11月27日 19時) (
レス) id: 132edadeec (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - はじめまして、鬼舞辻ちゃんのお話最初から全部見させて頂きました。とても面白かったです！此方の作品の更新はもうしないのでしょうか…？とても素敵な作品なのでもしよろしければ更新お願い致します！ (2020年11月3日 23時) (レス) id: 866cd439ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり。 | 作成日時：2020年7月24日 1時
