88:記憶力低下 ページ42
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｢Aは、覚えていないのか？｣
『ん？』
翌日。クラス合同の体育の授業中。ふと、炭治郎がAに問いかけた。
グラウンドは3クラスに分けられた男女混合チームのサッカーで大いに盛り上がっている。出番の終わった炭治郎とAは僅差の得点板の前でそんな会話を繰り広げていた。
『覚えてないって、何を？』
｢...分からないのか？｣
その質問の意図を問われるとは思わなかった炭治郎は少し低めの声で聞き返す。
別に"前"の記憶があったとして、何かをする訳ではない。ただ、気になっただけだ。他の者達はある、と宣言する者もいたし、行動で気づいた者もいる。しかし彼女は決定的な証拠もなければ言動もはちゃめちゃで、確固たる証拠がなかった。だからこれは炭治郎のただの好奇心だ。
『そんな怖い顔しないで欲しいんだけど。私が質問の意図を理解してるかどうかなんて、匂い嗅げば分かるんじゃないの？』
｢俺はそこまでして知りたいわけじゃないんだ。嘘をついたって詮索したりしないよ｣
『へぇ〜じゃ、質問の答えになってるかどうか分かんないけど
───────覚えてないよ。なぁんにも』
にっこり、と変わらない笑顔を見せるAに炭治郎はありがとう、と礼を言う。嘘を着いても詮索しない、とは言ったが真偽を確かめないとは言ってない。
そして彼女の匂いは、嘘をついていなかった。すなわちあの言葉は真実である。自分の嗅覚を疑うわけではないがなんだか腑に落ちない気分だ。善逸でもいれば音で確認できたが彼は今、霹靂一千の如く奮闘している。
俺の勘違いか、とたった今善逸がゴールを決めのを横目に得点板をめくる。
ふと、彼女を見ると先程の笑みを崩すことなく今だににっこり、と笑っていた。
『ねぇ』
と、いつもより低い声で、いつもの朗らかさの欠けらも無い呼びかけで、目の前の炭治郎にまたにっこり、と笑う。
『炭治郎はあるの？"記憶"』
彼女の問いかけに、炭治郎はあるぞ、となんの戸惑いもなく応える。
試合終了のホイッスルが鳴り響く。冨岡が鳴らしたものだ。ああ、そうだ 俺は覚えている。あれは義勇さん、善逸、伊之助ーーー
そこで炭治郎は彼女の言葉を思い出す。彼女は確かに"記憶"と言った。でも自分は言ってない。炭治郎は振り返る。遠くで叫ぶ善逸の声が聞こえた。
｢危ない！！｣
頭に何かの衝撃を受けたのと同時に、炭治郎の意識はなくなった。
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しゃんぷー猫猫(プロフ) - ここさん» コメントありがとうございます。長い間手をつけれない状態が続きましたがゆっくり更新していきたいと思っています。今年中には必ず更新するので、それまで待っていただけたら嬉しいです。 (2020年11月27日 19時) (
レス) id: 132edadeec (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - はじめまして、鬼舞辻ちゃんのお話最初から全部見させて頂きました。とても面白かったです！此方の作品の更新はもうしないのでしょうか…？とても素敵な作品なのでもしよろしければ更新お願い致します！ (2020年11月3日 23時) (レス) id: 866cd439ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり。 | 作成日時：2020年7月24日 1時
