今世 弐 ページ10
その後、怒鳴りに怒鳴り散らした老夫婦は、その声に驚いて出て来た村人達を見て罰が悪そうにして帰っていった。
璃秋「すまない鈴璃。怖かっただろう?」
鈴璃『いえ。大丈夫です』
そう言いながらも、鈴璃は璃秋に抱きついて離れない。
璃秋「鈴璃。お家に入ろう。それから話してあげるから」
鈴璃『はい』
すっと離れると、優しく手を取って歩き出した璃秋の背中を、鈴璃は寂しそうな瞳で見ていた。
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家に帰り、夕飯の支度をして食べ、風呂に入り、あとは寝るだけになった頃、布団の上で璃秋と対面する。
璃秋「あの二人は、お母さん、琴葉のお母さんとお父さんで、鈴璃の祖父母であることには間違いないんだ。だけど、俺が使用人、お使いの人として琴葉の家で仕事をしていたときに、琴葉と恋をして結婚することになったんだ。でも、あの二人に猛反対されてね。結局、家族としての縁を切ることで琴葉と結婚することが出来たんだ。確かにあの夫婦は鈴璃の祖父母で、血は繋がっているんだけど、もう家族ではないんだ。だから、鈴璃が気に病むことはないんだよ」
困ったように笑う璃秋から、鈴璃はすぐにどうゆう気持ちで言ったのかを悟った。
鈴璃『分かりました。ですが、お父さん。お父さんも気に病むことはないんですよ?私にとっての家族は、お父さんとお母さんの二人だけなんですから、だから、そんなに心配しないでください』
璃秋はこれで、自分の愛娘に嫌われるのではないかと考えていたのだが、鈴璃はその真反対な言葉を紡ぐ。
璃秋「そうだね、そうだったね。俺の家族も、琴葉と鈴璃の二人だけだ」
パッと明るくなった顔を出した璃秋に、鈴璃は優しく微笑んだ。
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数日後。
二人は軽く荷物を持っていた。
璃秋「鈴璃。準備はいいかな?」
鈴璃『はい。では参りましょう。都市"東京"へ』
璃秋が前もってから貯めていたお金で、もう二度とあの老夫婦と合わないように二人は旅をすることになった。
璃秋「もし疲れたら言いなさい。お父さんが持ってあげるからな」
鈴璃『ふふ、お父さん。私もそんな弱くはないですよ』
本気で心配そうに言う璃秋に、鈴璃は可笑しそうに笑う。
璃秋「鈴璃は大人だなぁ。お父さんはこれからが不安だって言うのに〜」
鈴璃『お父さんは怖がりでもありますしね』
そんなことを言って先に歩き出した鈴璃を、璃秋は慌てて追いかけた。
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KIRAN1225aavk(プロフ) - ありがとうございます!時折更新出来ない時もございますが、ご了承下さい。 (2019年5月28日 21時) (レス) id: 892392ea40 (このIDを非表示/違反報告)
鮭本 - コメント失礼します。とても面白いです!無理せず更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年5月26日 23時) (レス) id: 7e04cbc111 (このIDを非表示/違反報告)
布袋尊(プロフ) - 更新頑張ってぇー、楽しみだからァ(ぶりっ子じゃないよ!?) (2019年5月26日 22時) (レス) id: 4e763fa650 (このIDを非表示/違反報告)
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