生前 肆 ページ4
刀を力一杯に振るい、伸びてきた鬼の腕を切り落とした。
？「なに！」
『っ！』
________炎の呼吸。伍の型。炎虎。
一瞬、鬼が怯んだ隙に二撃目を繰り出す。
『そう簡単に、触れてもらっては困りますんでね』
強がって笑ってみせるが、殴られた鳩尾は未だに痛みを含んでいる。
『殺すのであれば、徹底的に……』
一人そう呟いて、刀を構えてた時だ。
？「その方を殺されてますよ」
『ガハッ！』
音もなく背後に現れたもう一人の鬼に、その手で腹を貫かれる。
『ゴボッ、じ、じょう、げん、の、に？』
特徴的な髪型に、双方の瞳に上弦・弐と写っている鬼は、和かに笑う。
？「悪いね、少女。君には此処で死んでもらう」
『っ！』
ズボリと音を立てて引き抜かれた瞬間に、刀を横に振るった。
？「おっと、まだそんな力があったのか」
『グッ、ゲボッ！』
血を吐きながらも、現れた鬼を睨みつける。
『な、なめ、ないで、くだ、さい！』
そう言って再度感覚がほぼなく震える手で、刀を構えたその時……
「柱様！」
鬼との戦いにおいて、一切出て来るはずのない隠が飛び出してきて、発光弾を投げて鬼の目が眩んだうちにその場を逃げ出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
隠の肩を借りながら逃げること数分後。
夜が明け始めた頃に、近くの木の下に横にされ、鎹鴉からの知らせを受けた水柱・"鱗滝左近次"が駆けつけてきた。
鱗滝「傷口が深い。一刻も早く治療をしなければ！」
そう言って走りだそうとした時、その波柄の羽織を掴んだ。
『う、鱗滝、さ、ん』
鱗滝「なんだ？どうした？」
震える手つきで、懐からあるものを取り出して渡す。
『これ、私が、つく、った、の。こ、孤児の、子、を、ひき、とった、ていう、から』
取り出したのは、綺麗に縫われた赤の御守り。
『が、がんばっ、たん、だ。は、はは、うえ、に、おそ、わり、ながら、さ』
鱗滝「分かった！分かったから！もう喋るな！」
血に濡れた手を鱗滝の分厚くとても温かい手で強く握って叫んだ。
『ゴボッ！ゴボッ！』
鱗滝「な？！急いで医師を呼んできてくれ！」
血を吐いたのを見て、側にいた隠に焦りながら告げる鱗滝。
『わ、私は、死ぬ、の、です、ね』
鱗滝「！そんなことはさせん！絶対にさせんからな！だから、お主も諦めるな！」
そう強く言ってくる鱗滝に、弱々しい微笑みを向けた。
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KIRAN1225aavk(プロフ) - ありがとうございます！時折更新出来ない時もございますが、ご了承下さい。 (2019年5月28日 21時) (
レス) id: 892392ea40 (このIDを非表示/違反報告)
鮭本 - コメント失礼します。とても面白いです！無理せず更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年5月26日 23時) (レス) id: 7e04cbc111 (このIDを非表示/違反報告)
布袋尊(プロフ) - 更新頑張ってぇー、楽しみだからァ(ぶりっ子じゃないよ!?) (2019年5月26日 22時) (レス) id: 4e763fa650 (このIDを非表示/違反報告)
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