肆 ページ12
暗闇の中、鈴璃は一人で立っていた。
鈴璃『(ここはどこでしょう？私は確か血を流しすぎて気を失った筈では…)』
黒い世界に一人いるという不穏な光景に、すぐに足を動かす。
鈴璃『(もしかしたら"血鬼術"かもしれない！そうだとすれば、これはまずい！)』
最悪な予測に辿り着き、さらに足を動かして駆け回る。
鈴璃『どなたかいませんか？』
声をかけるが、反応がない。
流石に焦りはじめたその時……
「姉上！」
鈴璃『杏寿朗……？』
懐かしい大切な弟の声に振り返ってみると、そこには幼い杏寿朗と、鬼殺隊にいた頃の自分が笑顔で笑っていた。
鈴璃『私に、今一度鬼殺隊になれと、そう言いたいのですね』
どこか悲しげな表情で言った鈴璃に、杏寿朗といたはずの"過去の鈴璃"がこちらを向く。
鈴璃《今の生活は、確かに前とは違って少し気が楽で安心できるかもしれない。でも、【私】はやっぱり杏寿朗と一緒に、家族皆と一緒に生きたい！》
それが自分の本心だということを理解するのに、そう時間はかからなかった。
鈴璃《だから、だから……！》
鈴璃『大丈夫、大丈夫だよ【私】』
悲痛に泣き叫ぶ自分を抱きしめて鈴璃は言う。
鈴璃『今の私でも出来る。お母さんやお父さんに、大切なこと、いっぱい教えてもらったからね』
鈴璃《…えぇ、えぇ。そうだったね》
涙で濡れた顔が優しく綻んだ時、鈴璃の視界は一気に明るくなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
眼が覚めたそこは薄暗く、病院のような建物内だった。
鈴璃『ここは…？』
身体を起こそうとした時……
ドオンッ
鈴璃『きゃっ？！』
突然来た大きな衝撃に対応できず、寝台の前から転げ落ちる。
鈴璃『いっててててて、い、一体何が？』
下の方で激しい音が聞こえ、何かの襲撃に遭っているのはすぐにわかった。
鈴璃『ひとまず、下の方に！』
壁に捕まって立ち上がった時、突然部屋の扉が勢いよく開く。
？「ふん！」
鈴璃『へ？』
入ってきたのは、竹筒を加えた桃色の瞳を持った少女。
？「むーー！！」
鈴璃『避難ですか？いえ！私を下に連れて行ってください！』
着物の袖を掴んで引っ張る少女に、誘導してくれているのだろうと察して声を上げた。
？「むー！」
鈴璃『お願いです！私はやらないといけないんです！』
少女は駄目だと言うように頭を強く横に振って答えるが、鈴璃も頑なに下に連れて行ってもらえるように頼む。
続く
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KIRAN1225aavk(プロフ) - ありがとうございます！時折更新出来ない時もございますが、ご了承下さい。 (2019年5月28日 21時) (
レス) id: 892392ea40 (このIDを非表示/違反報告)
鮭本 - コメント失礼します。とても面白いです！無理せず更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年5月26日 23時) (レス) id: 7e04cbc111 (このIDを非表示/違反報告)
布袋尊(プロフ) - 更新頑張ってぇー、楽しみだからァ(ぶりっ子じゃないよ!?) (2019年5月26日 22時) (レス) id: 4e763fa650 (このIDを非表示/違反報告)
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