【1/きみになみだ】 ページ6
※6年ほど前のお話※
(黄20歳・桃19歳・黒11歳)
＿＿＿＿＿＿＿
両親の葬式が終わって1週間。
両親の身辺整理から、遺産がどうの、仕事の引継ぎ
それらを若干ハタチで
一手に引き受けることとなった優吾は、
既に心も体もいっぱいいっぱいの状態だった。
家のことや弟たちのことは、
この状況が落ち着くまで大我が大学を休んで
すべてやってくれている。
どんなときも仕事は待ってくれないから
会社に泊まり込みで帰れない始末。
携帯からメッセージを受信する音が鳴って
画面に映し出された文字を見て、またため息をついた。
“明日、会社にお伺いします”
父のいとこにあたる女性からの連絡。
きっと北斗のことだろう。
葬式の直後から、親戚一同の話題は
末っ子の北斗のことで持ちきりで
冠婚葬祭のときに挨拶するくらいの関係の人たちが
病身の北斗のこれからを案ずるような…
はたまた除け者にするような話を繰り広げてた。
『自分たちで生きていきます』なんて啖呵を切ったけど
両親のいない環境で
幼く、病気を抱えた弟を育てていけるだろうか。
そんな問いに、答えを出せずにいた。
＿＿＿＿＿
『優吾くん、考えてくれたかしら』
子どもを育てる大変さを知ってるから言うのよ。
その女性はそう言ったけど、本心は違うことを知っている。
持病を持つ子供を育てるには
お金も時間も労力もかかるから
それで仕事が回らないのなら手放してしまいなさい
それが……本心。
家族経営で大きくなった会社だから
些細なことで経営にひずみが出るのを嫌ってるのだろう。
自分たちの生活がかかっているから。
施設や里親募集の冊子
「いや、待ってください。
北斗のことなら大丈夫ですから…
自分たちでなんとかやっていきます…」
俺らの都合で北斗を手放すなんてことは
もってのほかだって、そう思ってるはずなのに
お葬式のときより弱々しい返答になってることには気づいていた。
『優吾くんはそのうち会社を継ぐことになるのよ。
大我くん樹くん慎太郎くんだって忙しくなっていく。
誰かが家にいれないときに北斗くんに何かあったらどうするの？
あの子を死なせることになるのよ？
北斗くんにとって何が幸せかよく考えて…』
「死なせる…こと…」
弟の命を背負うことの重さに…
不安で眠れないほど、優吾は押しつぶされていた。
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
