【3】 ページ32
【語り/Taiga】
優吾が言いたいことはなんとなく分かってた。
“北斗がもしも死んでしまったら”
北斗と丸一日一緒に過ごして
俺も何度も何度も頭を過ったことだから。
みんなとﾊﾞｲﾊﾞｲしなきゃいけない夢
それを夢に見るほど北斗は不安で。
でもそれを見せまいと強がってたんだね。
北斗はますます泣き声を大きくして…
枕元の心電図から不穏な音が鳴り始める。
「……ほっくん…大きく息して…
苦しいね、しっかり…」
そんなことしか言えない俺たち。
「ごめん…ごめんね、ほっくん。
泣かないで…苦しくなっちゃうよ…」
北斗には力強い言葉が必要なのに
謝ることしか出来ない、弱い俺たち。
無力な俺たち。
弟の生命の重さに押し潰されて
ﾅｰｽｺｰﾙでかけつけた先生に処置をされる北斗を
遠くで見ていることしか出来ない。
俺が泣いてる場合じゃ無いと
必死に奮い立たせるのに、
やっぱり涙が溢れてきてしまう。
「泣いてちょっと呼吸が乱れただけかな。
落ち着いてきたからこれで様子見よう」
涙の跡もそのままに、
辛そうに眠りについた北斗に縋り付くように
肩を落とす俺らを見て、先生が背中を押す。
「優吾くん、大我くん。
ただ、側にいるだけでいい。
北斗は二人のことをいちばん信じてる。
でも、だからこそ…二人の迷いも
北斗には伝わるからね…」
ハッとした。
俺らが迷って揺れてることは
北斗に伝わってたんだね。
表情や気持ちで、ぜんぶ。
「北斗を不安にさせてたのは
俺たちだったね…ごめんね」
「ほんと、弱い兄ちゃんたちでごめんな」
自分たちの選択が正しいのか
そればかりに怯えて北斗から逃げてた。
同意書に書かれた文字がなんだ。
目の前で精一杯生きようとしてる
北斗こそが正解なんだ。
「ゆーご…たぃが…」
酸素マスクに切り替えられて
くぐもった声で俺らを呼ぶ声。
目は閉じられたままで眠ったままのようだった。
北斗には俺らしかいないんだ。
苦しくてもまた、俺らを求める北斗の姿に
長男次男共に、涙が止まらなくて…
北斗が起きるまで、
しばらく許してね…
北斗、絶対に…大丈夫だよ
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
