【2】 ページ26
【語り/Taiga】
「北斗、頑張ったな」
未だ眠り続ける北斗の額を優しく撫でる樹。
その反対側に慎太郎も引っ付いてて。
救急車の中で見た苦しそうに歪んだ表情は
今は無くて、静かにそこに眠っている。
それだけがせめてもの救いだった。
樹と慎太郎に北斗をお願いして、
優吾と別室に移る。
「優吾くん、大我くん…もう時間が無い」
いつも、心強い言葉で
俺らを支えてくれていた櫻井先生の
余裕の無い言葉を…初めて聞いた気がした。
もうそれだけで、北斗にあとがないことを悟る。
「発作が大きかったから、体力の消耗が激しい。
もしかしたら目覚めるのに時間がかかるかもしれない。
優吾くん、大我くん、手術…させてくれないかな」
北斗が自分自身で決めた
手術はしないっていう大きな決断。
本人に意志確認しないまま
手術に踏み切っていいのかな。
もし、失敗したら…
ずっとずっとベッドの上の生活かもしれない。
それか、一生の別れになるか。
俺には…重すぎて…無理だ。
優吾は？
「サイン…します」
いつになく力強い声が響いた。
優吾の目には揺るがない意志が宿っていて。
「約束したんです。北斗と…」
穏やかで、平和で、いつもニコニコしてて
笑顔って言葉が似合いすぎる優吾が…
大事な弟を守る兄として、
北斗の人生を左右する決断をする姿に…
優吾が長男である理由を改めて感じた。
優吾の勇敢な表情に…迷いは無かった。
「俺にも…させて」
震える手でサインをした優吾の名前の隣
“高地優吾／大我”
ゆーご、俺も一緒に背負うから。
優吾の目を見て、大丈夫って無理に笑って…
そしたら「ありがと」って
優吾の声は心なしか震えてた。
病室に戻ると、
不安げに俺らを見つめる樹と慎太郎
そして眠り続ける…北斗。
こいつら全員まるっと俺らが守るって。
誰に願えばいいかわからないなら
俺自身が誰より信じるしかないよね。
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
