【1/Believe in ourselves】 ページ25
【語り/Taiga】
救急車の中で、苦しそうな呼吸を繰り返す北斗。
それでも絶えだえの意識の中、
俺が握った手をギューっと掴んだまま離そうとはしなかった。
何も考えなくても涙がボロボロ溢れて…
北斗を奪わないで
北斗を連れていかないで
この願いは、誰に伝えれば叶えてくれるだろうか。
病院に着くまでの間、そんなことを真剣に考えた。
救急車から降ろされた北斗が
何人もの看護師さんたちに運ばれていく中で、
ずっと握っていた手が自然と離れてしまって……
「あっ……ほくと！」
思わず叫んで、ストレッチャーにしがみついた。
「大我くん、あとは任せて」
俺を制した櫻井先生に
「先生、助けてください！」なんて…
誰かに泣いてすがることしか出来ない自分が情けなかった。
______
数分後に後から到着した
優吾と樹と慎太郎の顔を見たら安心して
体の力が抜けるのと同時に、また涙が溢れた。
「どんな状態？」
優吾の心配そうな声に…
震えながら何枚かの紙を差し出した。
さっき処置室に入る櫻井先生から渡されていた。
よく読んで、みんなで考えておいてって…
「……同意書」
「手術しないと…もう…」
あとでもう一度しっかり説明するとは言ってたけど
そこに書いてある説明はどれも怖いもので。
合併症、出血、多臓器不全、感染症、再発リスク
そして…死亡の確率
その確率が果たして高いか低いか、
そんなことはどうでもよかった。
俺らにのしかかっているのは…
どんなに小さな確率であっても
北斗が死ぬ可能性があるっていうことだけ。
人工心肺に切り替えての手術。
それはつまり心臓を一回止めるってこと。
そしてあの細い体にメスを入れ
胸骨を切り開かなければいけないってこと。
「…優吾…どうする…」
青ざめた表情の樹と慎太郎。
俺も、だまって優吾の言葉を待った。
「……」
優吾は機械的な文字が並んだ紙を
じっと見つめたままで……
「…約束したんだ…北斗と」って。
ちょうどそのとき
処置中の赤いランプが消えた。
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
