【4】 ページ16
【語り/Taiga】
「北斗、座ってよ」
「…え」
恐らく、家族の誰からも
頬を叩かれたことなど無くて…
北斗は痛いことよりも状況が掴めずに動揺していた。
「いいから、座れって」
思ったよりも自分の口調が
淡々としていることに俺自身が驚いていた。
自分のことをぞんざいに扱う北斗に
怒りと、どうしよもない悲しさが溢れて
頭で考えるより先に、手が出てしまった。
「北斗は心臓病なんだよ」
俺の直球に、北斗は、
そんなこと分かってると言わんばかりの
しかめっ面で睨み返してきた。
「かっこ悪いよ…北斗」
「……」
「今までたっくさん頑張って
手術も治療とも闘ってきたじゃん。
北斗はそれでも今を精一杯生きたいって
生きることを選んでくれた。
それなのに、ﾎﾟﾝｺﾂだとか普通じゃないとか
自分で自分を傷つけて…どんな気持ち？
カッコ悪すぎるよ、まじで」
北斗の中のコミュニティが
家族という守られたものから
友達という社会へ開かれたことで…
前よりももっと、自分が出来ないことが
人の何十倍もあるように感じて、
どうすることも出来ない
もどかしさが溢れちゃったんだよね。
「……みんなおれのこと
必要以上に心配するんだ…
俺はみんなみたいに普通にはなれない」
「それは違うと思うけど」
「違く、ない」
「そうかな〜？
俺が高熱出して寝込んだ時
北斗、俺の枕元にずっといたくせに」
「それは、大我が辛そうだったから
心配で……あっ」
してやったりの俺と
ハッとしたような北斗の目が合った。
「大切な人が辛そうにしてたら
誰でも声かけたくなるでしょ……
“普通”だったら…」
ずっと不安げに揺れていた北斗の目から
ついに涙がポロポロと溢れ出して
必死に呼吸を整えようとする姿が愛おしい。
「北斗だから、
ここまで乗り越えてこれたんだよ。
胸張って生きよう…ね？」
また、自分を責めたくなったり
苦しくなったらいつでもぶつけていいから。
だから…
生き急いで、俺らから離れていかないで。
「たいがぁ〜ごめんね」
「俺も叩いてごめんね。
痛かったね、北斗…」
安心したように、飛びついてきた北斗を
心が痛んで、ごめんの気持ちを込めて
思いっきり抱きしめ返した。
「お願いだから、優吾にもハグしてあげて」
「あ…ゆーご、ごめんなさい」
さすがに“ウザい！”は…
優吾も大ショックだと思うから…ね
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
