【3】 ページ35
【語り/Shintaro】
北斗が危険な状態だと知らされてから
さらに数十分。
手術開始からもう5時間が経とうとする頃…
「……ほくと」
手術室のドアが開いて、ｽﾄﾚｯﾁｬｰに寝かされた北斗の
身体のいたるところから伸びるチューブに思わず声を失った。
北斗が小さい頃に受けた手術の時は、
一般病棟に移ってからの面会だったからこんな姿は初めてで。
口に突っ込まれた機械は人工呼吸器
首の動脈には何本もの点滴
お腹からは何やらチューブが伸びていて
体内での出血を排出するためのものらしい
病衣から覗く胸の大きなガーゼが痛々しくて…
“生かされてる”
そんな表現がピッタリだと思った。
「手術自体は成功です。
ただ、癒着が原因の予期せぬ出血があって
人工心肺を使う時間が少し延びてしまった。
目覚めるまでと、目覚めてから…
まだ予断を許さない状況であることは伝えておく」
真剣な表情で櫻井先生は術後経過を伝えてくれた。
「ありがとうございます」
みんなで頭を下げたら、先生は表情を柔らかくして
困ったように笑った。
「頑張ったのは北斗だよ。
たくさん褒めて、声かけてあげて…
ほくと〜、いっぱい頑張らせちゃったね。
みんな待ってるよ、ゆっくりでいいからね」
櫻井先生があとはお願いしますと離れていった。
ICUへの移動が終わって、
やっと俺たちと北斗だけの空間になる。
優「ほっくん、頑張ったね」
樹「すごいよ、北斗」
大「ずっとここにいるからね」
みんなが声をかけても、もちろん反応の無い
真っ白な顔で、管だらけの北斗に
俺だけが近づけなくて…
ﾊｧﾊｧｯ…ﾊｯｯ…
「慎太郎？だいじょうぶ？」
大我が驚いたように俺にかけよる。
こんなの初めてで自分でも驚く。
うまく呼吸が出来ない。
目の前が真っ暗で、苦しくて…
「しんたろ！ゆっくり息して」
「…ほくとが、かわいそ、だよ」
こんなに大きなチューブを口に突っ込まれて
人工的に呼吸させられて…
「うん、慎太郎初めてだもんね。
びっくりしたよね…
これはすぐに外れるものだから、ね？」
大我の声に、だんだんと落ち着いてきて…
「だいじょぶそ？」
北斗の現状を受け入れるように大きく何度も頷いた。
「北斗、慎太郎の声聞きたいんじゃね」
樹の言葉に、やっと冷静になって…
こんな管だらけでも、
一生懸命生きようとしてる北斗に
涙が止まらなくて…
「北斗、まってるからねｯ…」
ゆびきりげんまん、したもんな。
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
