【1/遠い未来の話】 ページ9
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“心配するからゆーごには言わないで”
北斗は早退したことを隠したがったけど、
それだけは内緒に出来ない、ごめんねと大我は心の中で謝った。
「え？早退？」
案の定、夜遅く仕事から帰った優吾は驚いてる。
「俺もジェシーから連絡あって焦ったけど、
迎えいったら案外ケロっとしててさ。」
念のため、大我が主治医に電話したら、
熱が無くて元気そうなら次の定期健診まですぐだし様子みましょって。
家に帰ってからは、ケーキとお弁当食べてて、
控えめに夕飯も食べてはくれていたし、
帰宅した樹や慎太郎と楽しそうに過ごしてた。
「最近ずっと調子良かったし、少し疲れたのかもよ」
「…そっか。大我ありがとね」
「ぜーんぜん」
「俺、ちょっと様子見てくるわ」
「ふふ、起こさないようにね〜」
北斗の部屋のドアをそーっと開けて、
北斗を起こさないようにそっと寝顔を確認する。
いつになくグッスリ眠っていて、
なんだかむにゃむにゃ言ってる北斗は可愛い。
「…頑張ったな」
北斗のおでこにかかる前髪を流してやると、
今度はむずがゆそうに身じろいだ。熱も無さそう。
北斗の部屋はいつも整理整頓されていて、
制服もきっちり同じ場所にかけてある。
優吾は、ふと、机の上に置かれたカバンのポケットから
白い紙が出ているのを見つけて、開いてみる。
「進路調査票…」
そういえば来週は三者面談だったっけ。
両親が死んでから、保護者が必要なものは、ほぼ優吾が参加している。
高校2年にもなれば、もうどこの大学目指すとか将来の夢とか、そんな話を始める時期だ。
それはまっさらな状態の白紙で。
北斗は何を書くつもりなんだろう。
そういえば、そんな話はしたことが無かった。
北斗は、日常の色んな欲求を抑えて生きてるところがある。
あれやりたい、あそこに行きたい、これが欲しい、食べたい。
そういう話をあまりしない。
生きることや死ぬことに対して、
普通の人ほど貪欲じゃないっていうか。
流れに身を任せて生きている、そんな感じで。
それが優吾は気がかりでもあった。
大学に行くって言うならもちろん応援してやりたいし、
お金だってなんとかなる。
北斗の夢ってなんだろう。
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KIKO(プロフ) - nkrysuさん» はじめまして。少し前に完結したものにこうしてコメントが来るのが嬉しいです🥺❤️続編も楽しんでいただけると嬉しいです❤️ (2021年10月28日 19時) (
レス) id: 16d48c36dd (このIDを非表示/違反報告)
nkrysu(プロフ) - はじめまして。うるうる涙を流しながら読んでしまいました（ ; ; ）（笑）続編も読ませていただきます！ (2021年10月28日 9時) (レス) @page42 id: 42b1441c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2020年10月16日 10時
