【二人だけのヒミツ】 ページ8
【語り/Taiga】
大体、早退とか平日に北斗に何かあったときは
家で仕事してる俺の出番。
今日も心配したけど、車内ではもう北斗は落ち着いたみたいだった。
「北斗、お昼だけど、食欲どう？」
「…マック」
「は？」
「マックがいい。ナゲットとアップルパイも。」
「それ優吾に怒られない？」
「…じゃ、やめとく」
自分の食べれないものをわざと選んで並べる北斗。
拗ねてるなって、なんかおかしくなる。
体力もだいぶついてきたし、高校2年になってから
こうやって早退するのも初めてだったから。
ちょっと落ち込んだよね。
モヤモヤする気持ちもあると思う。
そもそも北斗は塩分制限があるから
ファストフードなんかはタブーで食べれない。
そんなことは北斗も俺もわかっててさっきの会話だ。
小さい頃はそれが理解出来なくて、
俺たちと同じものが食べれなくて大泣きして母ちゃん困らせてたけど。
運動も、食べたいものも、泣くことも。
ぜんぶ制限される生活。
泣いてもわめいても答えは変わらないと分かってから
北斗は妙に聞き分けのいい子供になった。
＿＿＿＿＿＿＿
「え…いいの？」
「うん、あいつらに内緒。二人だけの秘密ね。」
目の前のショーケースに並ぶ色とりどりのケーキたち。
昔からお世話になってるお店で、
甘さとか控えめな作りで、フルーツをたくさん使ってて
誕生日とかクリスマスとかはいっつもここのケーキを買ってるんだ。
北斗も特別な日には、ここのだったら食べることが許されてる。
「えー、どうしよ…」
身長もそろそろ俺と同じくらいで
着崩した制服にローファーじゃなくて
スニーカーとか履いちゃってる
洒落っ気づいて大人びた弟だけど。
あれでもないこれでもないって、
たったひとつのケーキを選ぶ姿はやっぱり
いつまでも可愛い弟で。
「たいがはどれ？」
「俺は…モンブランかな」
「おれいちごのショートケーキにする。
たいがのもちょっとちょーだい」
箱詰めされたケーキを大事そうに抱えて車に乗り込む。
「ゆーごに怪しまれるから、お弁当も食べよっと」
「それがいいよ」
優吾だって多分怒らないと思うけど
ナイショだって俺が言ったことを忠実に守ろうとするから
可愛くてふふっと笑みがこぼれた。
もちろん北斗の身体が第一。
でもたまに、うんと甘やかしたくなるんだ。
大袈裟かもしれないけど、
生きることに前向きになってほしいって。
みんながそう願ってる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 902人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
KIKO(プロフ) - nkrysuさん» はじめまして。少し前に完結したものにこうしてコメントが来るのが嬉しいです🥺❤️続編も楽しんでいただけると嬉しいです❤️ (2021年10月28日 19時) (
レス) id: 16d48c36dd (このIDを非表示/違反報告)
nkrysu(プロフ) - はじめまして。うるうる涙を流しながら読んでしまいました（ ; ; ）（笑）続編も読ませていただきます！ (2021年10月28日 9時) (レス) @page42 id: 42b1441c9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：KIKO
| 作成日時：2020年10月16日 10時
