貴方依存性 (ページ17)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:50,299 hit

依存性16 過去ページ17

｢幻滅したかい？♦｣

そう聞かれた時、なんて答えていいのか分からなかった

だけど...

『幻滅はしてません。だって、それは人それぞれだから。私、流星街で育ったんです』

そう言った時、ヒソカさんからいつもの余裕な笑みが消えた

『でも、私は盗みや殺しなどはいっさいやってこなかったんです。不思議ですよね』

｢あそこは、盗みや殺し...汚い事をしないと生きていけないはずだよ｣

ヒソカさんの口調はいつもよりとても真剣だった

『よく言われます...
でも、私は決して汚い事をやっていない訳じゃないんです。私が手を汚さなかった代わりに別の人が私の代わりに手を汚してくれたんです...その人は、私の実の兄なんです...私のために毎日ご飯を盗んで来てくれて、その度に沢山の人を殺してた。何も言わずただ見てた私も共犯者で、汚い事をしてたも同然。だから、私は殺しに対して、幻滅なんてしませんよ』

私がそう言うと、ヒソカさんは悲しそうな顔をした

『どうして貴方がそんなに悲しい顔をするんですか...』

その顔があまりにも辛くて、私はヒソカさんの頬に両手で触れた

そして額と額を合わせ、距離を縮める

｢僕も環境にはあまり恵まれてなかったよ。そのせいで、こんな快楽殺人者になっちゃったんだ｣

そう言う彼は今にでも消えちゃいそうなほど酷く脆く見えた

『ヒソカさんはきっと人にも恵まれてなかった...私は兄が居ることで、人生に絶望なんて感じなかった。ヒソカさんにもそんな存在が近くに居たら変わってたのかもしれない』

その存在が私だったら良かったのに...なんて思っている私はもうとっくに自分の気持ちに気づいていた

でも、まだ言わない

否...まだ言えない