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戦う訳には 8 ページ4

「俺のことも無視しやがって」

ずっと良太郎に背を向けて遠いところに座っていたモモがばっと振り返り、立ち上がる。

「お前ひとりでどうにかなると思ったのかよ、えぇ!?」

「ちょっとモモ、今は良太郎を安静にさせていないと」

あたしがいつものようにモモをなだめようと肩に手を置こうと思ったが、すっと避けられた。

おっとっと…

肩に置くはずだった手の標的が無くなったことで少し前のめりに転びそうになる。

「今のお前で勝てると思ったのかよ!?」

ウラもリュウタも止めようとするが振り払われてしまう。

あたし達3人は顔を見合わせた。

言葉は出していないが、何を言ったのかは分かる。

これは止められない。

「俺たちが消えるかもしれねぇって、そんな戦いできないってやつかよ」

それでもリュウタは桃の腕を掴んで良太郎から離そうとするが軽く払われてしまう。

「ちょっと違うけど」

「けどなんだよ」

モモは間髪入れず、喧嘩腰に聞き返す。

あたしはただ見てることしか出来ない。

あぁ、なんて無力なんだろう…

あたしは少し目をそらす。

良太郎はモモに聞かれたことに答えようとゆっくりと立ち上がった。

「一緒に戦う訳には…」

「あぁ?」

良太郎はいつになく鋭い目付きでモモの事を見据える。

「一緒に戦う訳には行かないと思った」

「なんだと」

その場にいる全員が息を飲む。

良太郎もモモタロスもオーラが黒い…

「今なんて言った」

「一緒に戦わないって言ったんだ」

全員の目が泳いでいる。

確かにイマジンは消えるけど、どうして一緒に戦わないって決断になるんだ…

イマジンと戦わないならまだ分かるけど…

「願いを言えばモモタロス達は僕から出て行けるよね」

「てめぇ…」

あたしはこれを聞いてなんとなく理解ができた。

良太郎の厳しい優しさ。

モモタロス達が消えるからイマジン退治ができないんじゃない。

モモタロス達が自分を消す戦いなんて残酷なことをさせないためだ。

だから、一緒に戦う訳にはいかない。

ほんとに、モモたちは…

あたしはその場にいるモモウラキンリュウデネブを順番に見て、自分の腕を強く握りしめた。

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クルサ - あっという間に読み終えてしまった…クオリティが高くて凄く面白かったです!また、いつか続きを書いてくれる事を心から願ってます(^^)完結編まで読み切りたい…! (2021年9月29日 20時) (レス) @page12 id: 8a3ec40306 (このIDを非表示/違反報告)
シーナ - 小説、読ませて頂きました!とても面白かったです!続き、頑張って下さい! (2020年3月6日 1時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルナ | 作成日時:2019年12月22日 20時

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