【王室教師ハイネ】二人の王室教師 1 (ページ5)

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第3話国王陛下の勅令状ページ5

――――ロッティ・ヴィトゲンシュタイン殿

グランツライヒ国王として、貴殿を王室教師に招きたく思う。

さて、突然の手紙に驚いたことだろう。
だが、貴殿の兄ハイネ殿にも同様に王室教師として招くつもりだ。
なので気を楽にしてこれを見て欲しい。

幸い私は一人の姫と五人の王子に恵まれた。
優秀な長男は国王候補である。
しかし万が一長男の身に何が起こるとも限らない。
そこで貴殿らには弟の王子四人の家庭教師に付いてもらい、立派な国王候補となるよう、ハイネ殿には勉学を、ロッティ殿にはハイネ殿の補助に付きながら社交術を教育して頂きたい。

彼らは私から見れば国王にはまだ不適格である。
今後の成長について、教師の能力による不公平さを出さないため、貴殿ら二人だけで四人を平等に見てもらう。

本当ならばハイネ殿だけでも良かったのだが、妹が居ると聞いたので折角ならばと貴殿にも王室教師に招かせてもらった。
その為事前に調べさせてもらったが、どうやら貴殿の交友関係は庶民・貴族問わず広いらしい。
ならばその会話術やコミュニケーション能力を、是非王子たちに教えてやって欲しいと思ったのだ。
彼らもいずれは社交界へ出て、色んな人たちと関わっていかねばならない。
その時に恥ずかしい思いをしないように、教育して欲しいのだ。

それに、ハイネ殿も貴殿が居ると落ち着くことだろう。
貴殿も同じくだ。
ハイネ殿と一緒に暮らせるし、悪い話では無いと思う。
後日、ハイネ殿と一緒に登城してくれ。

――――ヴィクトール・フォン・グランツライヒ

……しかし、ヴィクトール陛下って何者なんだろう？
特に最後辺りの文章は、私たちを気遣うような感じで……
でも私はそんなことをされる覚えはない。
貴族とは言っても、王族の方との交友は持ってなかったはず。
……ならば、兄さん？
兄さんは陛下とお知り合いなのかな。
兄さんは昔の事を話してくれないからわからないけれど、いったい何時知り合ったのだろうか。
兄さんの謎は深まるばかりだ……

ガシッ

「！」

急に手を捕まれ、ビックリした。
私と兄さんの手を掴んだのは王太妃殿下は、じっと私たちを見ている。
どうかしたのだろうか？
……もしかして、いつの間にか無礼を働いてしまったとか……

「先生方っ
王子達をくれぐれも、くれぐれもお願いしますわね！」

「「？？」」

何故王太妃殿下はこんなにも必死なんだろう？