第32話 黒焦げ ページ35
「酔わないのに飲まないなんて、勿体ないねぇ〜」
「お酒は酔って楽しむものですからね」
「ふーん」
ちなみに酔いたいために兄さんと一緒にワイン三本を半分ずつ飲んだことがあるんだけど、お互い素面だったんだよね。
これ以上飲んだから体に悪いからと止められたけど、多分いくら飲んでも酔わないんじゃないかなぁ……
酔えたなら美味しいと思えたかもしれないけれど、酔わないものは仕方がないので基本的に飲まないようにしている。酔わないならお酒はただ苦いだけの飲み物だ。
「おや、どうなさいました、レオンハルト王子」
兄さんの声につられてレオンハルト王子を見る。
何やらそわそわしてる……?
「い、いや。僕の獲った鹿肉はどうなったかなと」
((誉めてほしいオーラ全開))
「メインディッシュをお持ちしました」
おっ噂をすれば……
しかし、テーブルに置かれたのは黒焦げのものだった。
「……悪い、レオンハルト。今説明するからな……
せっかくレオンハルトが鹿を獲ってきてくれたから……この調理だけは我々でしようと……兄弟の力だけで作った料理を師匠達にお出ししたいと思って……
レオンハルトが師匠達を呼びに行っている間焼いていたら……こんなことに……」
「ブル兄ぃが目を離したから」コソッ
「違うッあの時自分はお前に任せて……」
「え!弟のせいにするわけ、ひっどー!」
「こらこら、喧嘩をしてはいけませんよ。それより……」
「レオンハルト……」
カイ王子がレオンハルト王子を慰めようとする。するとレオンハルト王子が泣いた。
「で、でも二皿分は焦げずにちゃんとできたんだよ!
センセー達の料理だし、二人共食べてよ!」
「「……」」
お肉を切り分けて一口食べる。
「……うん……とても美味しいです!」
「ええ、本当に美味しいですね」
「「ありがとうございます、レオンハルト王子/!」」
「配膳係さん、申し訳ございませんが、この肉を皆様で召し上がれるよう切り分けをお願いできませんか」
「そうですね、私の分も切り分けをお願いできますか」
配膳係さんは頷き、一度お皿を下げる。
「そ、そんな結構です!自分達はお二人に食べて頂きたくて……」
「私たちが頂いたお料理です。誰に分けようと私たちの自由。この論理は間違っておりますか?」
「……ッ…………正論です」
「それに料理は皆で美味しく食べるものですから!」
「はい、そうですね……!」
そしている間に皆にミニステーキが配られた。
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cocolove420(プロフ) - あの・・・名前変換にできませんか? (2017年6月15日 2時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華憐 | 作成日時:2017年5月12日 3時