【王室教師ハイネ】二人の王室教師 1 (ページ18)

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第15話王子面談―ブルーノ2― ページ18

「王室へ招かれるということは、ある程度以上の学力があるのはわかっている。
ここはチェスで勝負しよう。打てば相手の頭脳レベル、思考パターン、性格。全て把握できる」

……ほう。チェスがくるとは。
でもブルーノ王子。全て把握することが出来るのは貴方だけではないですよ……？

「私はそれで構いません。ただし、私は二番手でお願いします」

「何番手だろうが構わん。自分は今まで負けたことがないからな。覚悟した方がいいぞ」

「望むところです……！」

兄さんはそんなに「小さい」って言われたの気にしてるのか。
私はそんな兄さんが可愛いって思うんだけどな……

「……ん、チェス盤に埃が」

…………

―数十分後―

彼は潔癖性なのか、始まるまで随分かかってしまったが、始まってしまえば直ぐ決着が着いた。
兄さんの完全勝利――圧勝だ。

「つ、次は貴殿だ！」

「良いですけど、もう私には勝てないと思いますよ？」

「さっきはまぐれだ……次は勝つ！」

……まぐれねぇ。兄さんだからきっとそれはないと思うけど。
それに、私が一番手じゃない限り王子に勝ち目はほぼない。

「さ、始めましょうか」

そして始まって数分後。
兄さんのように完全勝利とはいかないものの、殆ど手駒を残した状態で勝利した。

「何で……」

「何で、って貴方が言ったんですよ。『チェスは相手の全てを把握できる』って」

「しかしそれでも……」

「貴方の敗因は、私に観察する機会を与えたこと。兄さんとチェスをしている間、貴方のことを見ていました。呼吸、手の動き、目線……
打ち方以外にも色んなところを見ていましたよ。
つまり私を二番手にした時点で貴方は負けていたのです」

私と最初に戦っていれば勝てたかもしれないのにね。
でも兄さんにはどうやっても勝てないだろうけど。私でも全然勝てないし。

「ぐっ……なら次！次の勝負だ！」

「まだあるのですか」

兄さんがだらんぬしてる……私が対戦している間に熱が冷めてしまったか。

そして次々勝負をしていった。
暗算勝負は兄さんと王子の二人で勝負して、結果は兄さんの勝ち。
楽器勝負は私が出て、私が勝った。
最後はトランプ勝負と『これ何の勝負をしてるんだろう』と思いながら三人ですると、兄さんがロイヤルストレートフラッシュを揃えて兄さんの勝ち。……兄さんが圧倒的すぎる。流石兄さんは強いなぁ……