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俺は武正への嫉妬心からイライラし、煙草に火をつけた。
((俺のことも見てくれよ、こんな好きなのに...))
「よっ...義勝さん」
「あっ」
店先で煙草を吸いながら、そんなことを考えてぼーっとしていると気づいたら隣にAちゃんがいた。
「あの、すみませんでした。」
「え?」
「みなさん3人で楽しく飲まれてたのに、私があんな話するから義勝さんに嫌な思いさせてしまいましたよね。
本当にすみませんでした。
今度のライブ楽しみにしてますね、では失礼します!」
「まって...!」
俺は帰ろうとしたAちゃんの手首を咄嗟に掴む。
Aちゃんは驚いた顔で振り返った。
「まずさ、今何時だと思ってんの?」
時計を確認したAちゃんは、あっ...と小さく声をあげる。
「大丈夫です、歩いて帰るので、」
「こんな時間に女の子がひとりで歩いたら危ないでしょ?
それに、嫌な思いなんかこれっぽっちもしてない。
あとさ、俺、
俺、Aちゃんのこと好きだから。」
「えっ、義勝さん...」
「俺ならAちゃんを泣かせたりしないよ。
Aちゃんが武正のこと好きなのは分かってる。
けれど...俺じゃだめかな。
2番目だっていいよ。俺はAちゃんの力になりたい。側にいたい。
俺にAちゃんを愛する権利をください。」
Aちゃんは終始驚いたような顔をしてた。
でも次の瞬間、
「私なんかで良いんですか...?」
「いいの、俺はAちゃんじゃなきゃ嫌だ。
付き合ってください。」
「...お願いします」
「ありがとう」
俺はAちゃんを優しく抱きしめた。
するとAちゃんは俺の腕の中で泣き出した。
Aちゃんの武正への想いは、まだまだあると思う。
きっと悔し涙なのだろう。
俺は泣き続けるAちゃんの背中をさすり続けた。
今は傷ついたAちゃんを癒してあげたい。
「俺の家、行こっか。」
「え?」
「ここから歩いて5分。
もう終電過ぎたし、Aちゃんどうせ家に帰れないでしょ?」
「あっ、そうだった...
じゃあお邪魔します」
それから2人で俺の家に向かった。
Aちゃんは先ほどかなり飲んだみたいで足元が少しフラフラしている。
俺も酔いがまわってきた。
俺はAちゃんが崩れないように寄り添いながら歩いた。
今までにない距離の近さに、少しドキってする。
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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2016年2月28日 23時