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義勝side
「それでね〜!!ってよしかちゅ先輩聞いてますかぁ???」
「なんだよ、聞いてるよ?うるせぇなぁ」
下北沢の中心部から少し離れたここに新しくできた居酒屋。
小洒落た雰囲気だから女性客も多く賑わっている。
八木氏と巨匠に誘われて来てみたけど、なかなか良い雰囲気だ。
武正も誘ってみたけど、今日は武正がもうひとつしているバンドAlaska jamの打ち合わせがあるらしく、3人で来ている。
「よしかちゅ先輩〜!ちゅーしてくださぁい!」
「しねぇよバーカ」
「えぇ、八木子、悲しいのですぅ〜」
「八木氏ベロベロだね笑」
あぁほんと八木氏うるせえ!
もう俺帰ろうかな。
「おっ!Aちゃん!!」
「えっ!?!?」
巨匠がそう言うもんだから、慌てて後ろを振り返る。
すると、そこには目がひどく腫れ、髪もボサボサで疲れ切ったような顔をしたAちゃんが立っていた。
「あっ...巨匠さん義勝さん、八木さん、」
「こんな時間に1人でどうしたの?とりあえずこっち来な?」
「えっ、いいんですか?申し訳ないです」
「ぜっ、全然問題ないよなぁ?ね、八木氏」
「あス!!!!」
巨匠がAちゃんに積極的に話をしにいくから、俺も負けじとフォローをいれる。
俺の席の隣が空いてたから、Aちゃんは俺の隣に座った。
「Aちゃんさ、どうしたの?目がすごく腫れてるよ...?」
「あのっ....少し聞いてもらっても良いですか?」
AちゃんはSAKAEYAから出てすぐに武正と知らない女性が2人きりで楽しそうに歩いていたことを教えてくれた。
武正が好きなAちゃんはその場で泣き崩れてしまったという。
「えっ、そうなの?今日見ての通り3人で飲んでるんだけどさ、たけAJの打ち合わせがあるから行けないって行ってたんだよね」
「え、巨匠、そうなんですか?」
「そうだよ。んー女といたのか...」
「でも武正って滅多に彼女作らないよ?それに彼女できたら絶対俺に報告してくれるもん!」
「そうかもしれねぇけど、これに限っては断言できねぇだろ...」
俺は3人の話を黙って聞いていた。
隣で涙目で悲しい顔をしているAちゃんを、俺は見ていられなかった。
「ごめん、ちょっと外出てくるわ」
俺は颯爽とその場から立ち去り、外に出た。
Aちゃん、本当に武正のこと好きなんだなぁ...
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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2016年2月28日 23時