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俺は顔を赤くして下を向いているAの手首を掴んで助手席に押し倒す。
ギシッとシートが軋み、俺がAちゃんの上に乗るような形になった。
「.....」
「たっ武正...?」
Aに名前を呼ばれて、自分が何をしたかに気付く。
「あっAごめん......俺、」
「びっくりしたけど...大丈夫だよ、!」
「ごめんね、じゃあ行こうか」
俺は運転席に座ってハンドルをきる。
ちらっとAを見ると、まだ顔が赤いままで。
あぁ、俺なんであんなことしてしまったんだろう?
「ねえ、A」
そう呼んだけど、Aはすやすや眠っていた。
君の寝顔はとても綺麗で。
俺は信号で車が止まる度にその寝顔を見つめた。
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家に着いても君は寝てるままで、起きない君をただただ見つめる、静かな夜。
俺は勝手に体が動き、
気付いたら自分の唇をAの唇に合わせていた。
柔らかい感触。
「Aっ...好きだよ....」
「んっ...」
「はっ....!起こしちゃった...?」
「んんんんっ んんー!!」
伸びをする君の声は、すごく色っぽくて。
体が動きそうになるのを必死に抑える。
「た....武正?おはよ...」
「おはよう...てか家ついてるよ?帰って部屋で寝な?」
「え!?あ本当だ...すっかり寝ちゃってた。ありがとう」
「いえいえ、おやすみなさい。今日はありがとな」
「うんっ!おやすみぃー」
君はまだ半分寝ていて、足元は少しフラフラしていたけど、
無事に玄関に行き着いたところを見送ってから車を発進させて運転する。
Aの唇の感触がまだ残っていて、Aのことで頭がいっぱいのままだった。
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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2016年2月28日 23時