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...
裕翔 side
何かが 、 落ちる 音 。
何か を 必死 に 集めている 伊野ちゃん 。
「 伊野ちゃん 、 なに 集めてんの − ? 」
訊くと 、 少し 重ため の 前髪 から 、 うるうる の 伊野ちゃん と 目線 が 重なった 。
「 ごめんなさい …… 」
「 え っ ? どうかしたの ? 」
唐突に 謝られて 、 何が何だか 分からない 。
俺 の 顔 を 見て 、 悟った 伊野ちゃん は ゆっくり 口 を 開いた 。
「 ゆうと … 、 壊しちゃった …… 」
昔から 伊野ちゃん は 、 大切 な 物 を 壊すよう な 気の荒い 子じゃなかったから
嘘 だと すぐ に 見抜く こと が できた 。
伊野ちゃん の 見せた 掌 の 中 には 、 壊れた ネックレス の チェーン の 欠片 が あった 。
俺 は 黙って 俯いた 。
だけど 伊野ちゃん は 、 俺 の 顔 を 確認 しながら 、 こう 切り出した 。
「 …… 壊したんじゃなくて ね 、 壊されちゃった の 。 」
その ネックレス を 壊したのは 、 山ちゃん って 案外 すぐ に わかった 。
人 を 疑うほど 、 気持ちの悪いこと は ないけれど 、
疑わないと 生きていけない 。
「 山ちゃん 。 壊したって ほんと ? 」
「 俺 だって 持ってない 裕翔くん との 、 お揃い の 物 だから 、 羨ましくて …… 」
「 なに その 下んない 理由 。 まじ 、 呆れちゃった 。
付き合ってんだからさ 、 お揃い の 1つや2つ 、 普通 でしょ 。 」
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作者名：伊 野 尾 慧 | 作成日時：2016年2月15日 20時
