70話 ページ29
私の目が覚めたのは全てが終わった後だった。
右手にひんやりとした冷気を感じて、ふと顔をそっちに向ければ…
貴｢轟、くん｣
国宝級と言っても過言ではない、超整ったイケメン顔の焦凍くんが私の右手を握っていた。
轟｢体は大丈夫か？｣
貴｢あ、うん。もう大丈夫だけど…何で轟くんがここに？｣
焦｢随分と無茶した"従姉弟"が心配で見舞いに来た。すげぇ熱かったから、リカバリーガールに頼まれて冷やしてたんだ｣
焦凍くんから従姉弟というワードが出てきて目を見開いた。もう焦凍くんは私を従姉弟だと確信を持って接している…まぁ最後の方はモロ私ですって言ってるようなもんだったからなぁ。
焦｢…お前のことはAに似ている他人だと思ってた。でも、あの技が…火球流星群を出したお前が従姉弟の影と重なり合って確信した。
お前、10年間行方不明だった俺たちの従姉弟…だよな｣
貴｢…うん、そうだよ。ごめんね、知らないふりして｣
あの時勝己くんに怒鳴られてやっと気付いた。
死んでしまった私が前世の記憶を持ったままヒロアカの世界に転生させられたのは…きっと、ご褒美ってよりかは自分自身を見失わないようにっていう神様からのお達しだったのかもしれない。だから恐らくこの世界が前世の人生の延長戦なんだろう。
貴｢あ、あのね、轟くん｣
10年分の謝罪の言葉が喉まで出かかったところで、こちらを見つめる綺麗なオッドアイと目が合ってしまった。
焦｢なぁ、もう昔みてぇに名前で呼んでくれねぇのか？｣
貴｢…え？あ、いや、その…逆に聞くけど、この私が今更名前呼びなんかしてもいいの？｣
焦｢勘違いしてるようなら今ここで誤解を解いとくが、別に俺はお前を恨んじゃいねぇ。…どっちかっつーと、今まで避けるようにされてた事に腹立ててる｣
貴｢ご、ごめ｣
焦｢…だから、これからはお前自身として接して欲しい。俺の方こそ悪かったな。お前に消えねぇ傷を負わせちまった｣
貴｢とどっ、焦凍くんが謝ることじゃないよ。…ねぇ、私たちもう一度、従姉弟になれるかな…？｣
焦｢…あぁ、そうだな｣
ずっと真顔だった焦凍くんがやっと笑顔を見せてくれた。安心して涙が溢れてくるも、私は必死に｢ありがとう｣を繰り返した。
そう言えば私、勝己くんに体操服の上着を借りた(正しくは勝手に被せられた)ままだったな。洗濯して休み明けに返しに行かなきゃ。
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shelllove31(プロフ) - この作品は本当に面白くて！これからも応援してます！！ (10月18日 15時) (
レス) @page2 id: 306f7ebf5d (このIDを非表示/違反報告)
yuumin - この作品は神です！ 設定とか考えるのは難しいですよね・・・。 レーズンさんのほかの作品も読みたくなりました！ 頑張ってください。 (2022年11月24日 13時) (レス) @page2 id: a4f8ad7b79 (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - ひまさんさん» コメントありがとうございます！ひぇ、小説も絵も褒めて頂けるなんてめちゃめちゃ嬉しいです…！悔いのないように最後まで更新頑張るので、これからも宜しくお願いします！ (2021年9月5日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - リッパーさん» お返事遅くなってしまってすみませんでした…コメントありがとうございます！面白いと言って貰えて本当に嬉しいです。最後まで更新頑張るので、これからもどうか宜しくお願いします…！ (2021年9月5日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
ひまさん - あと、絵がとても上手ですね！羨ましいです。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 753d3bcd80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レーズン | 作成日時：2020年11月8日 17時
