65話 ページ24
────情けない。
緑谷くんが背中を押してくれたのに、幼馴染みが胸を貸してくれたのに……まだ身バレすることを恐れている自分がいる。
前世の記憶は断ち切れ、今は関係ないでしょ？
それなのに、どうして腕が動かないの…？
マ『おおっとぉ〜！？ここで玉石の動きが止まったァ〜！？』
嫌だ、動けよ私。何で、どうして動けないの？本気でやらなきゃ勝己くんに失礼だし、私を弱くないって言ってくれた緑谷くんの期待を裏切ることになってしまうのに。
《出来損ないの＿＿＿は一家の恥晒しね》
フラッと少しよろけて数歩後退する。あぁ、忘れたい声なのに、こんな時に限って思い出しちゃうなんて。でも今は試合中だ、集中しなきゃ……
爆｢テッメェふざけんじゃねェぞ！！｣
体制を立て直す前に再び勝己くんの爆破を食らう。これでモロ食らったのは3回目、そろそろ体力も限界に近づいてしまった。
爆｢何を躊躇ってんのかは知らねぇけどなァ！俺はテメェの血筋とか昔話とかそんなモンは心底どーでも良いんだわ！
テメェの！玉石Aの力を全力でぶつけてこいっつってんだよ！｣
！！勝己くん、今私の名前……
……そうだ、そうだよ。私は玉石A。決して＿＿＿なんかじゃない。
《かっこいいヒーロー…ぼくにもなれるかなぁ》
《なれるよ、ぜったい！けいこはつらいけど…がんばればきっといいこともある！2人でさいこうのヒーローになろうね！》
《うんっ！約束───》
約束、したじゃないか…！！
爆｢逃げてんじゃねェぞ！テメェは誰だ！？言ってみやがれ！！｣
この10年、私は血筋からずっと逃げてきた。轟家と縁を断ち切ることで、私はごく普通の一般家庭に生まれた女の子として振る舞うことが出来たから。そうするように、あの日から言われ続けていたのだ。
言う通りにしておけば、優しいお父さんとお母さんを悲しませずに済む。
…でも、ごめんなさい。
やっぱり私は、もう自分が犯した過ちから逃げたくない。逃げちゃダメなんだ。目を背けないで、ちゃんと前進して…私が私であるために！
貴｢私は…私は、ヒーロー科1年A組、玉石Aだ…！！｣
爆｢そうかよ…じゃあとっとと死ね！｣
納得のいく答えが得られたのか、さっきよりは目の吊り上がり方が緩やかになった。
ありがとう勝己くん。私、もう迷わないから。
貴｢"
体操服が燃えてしまわない程度の温度で、私の体は炎に包まれた。
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shelllove31(プロフ) - この作品は本当に面白くて！これからも応援してます！！ (10月18日 15時) (
レス) @page2 id: 306f7ebf5d (このIDを非表示/違反報告)
yuumin - この作品は神です！ 設定とか考えるのは難しいですよね・・・。 レーズンさんのほかの作品も読みたくなりました！ 頑張ってください。 (2022年11月24日 13時) (レス) @page2 id: a4f8ad7b79 (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - ひまさんさん» コメントありがとうございます！ひぇ、小説も絵も褒めて頂けるなんてめちゃめちゃ嬉しいです…！悔いのないように最後まで更新頑張るので、これからも宜しくお願いします！ (2021年9月5日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - リッパーさん» お返事遅くなってしまってすみませんでした…コメントありがとうございます！面白いと言って貰えて本当に嬉しいです。最後まで更新頑張るので、これからもどうか宜しくお願いします…！ (2021年9月5日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
ひまさん - あと、絵がとても上手ですね！羨ましいです。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 753d3bcd80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レーズン | 作成日時：2020年11月8日 17時
