76話(出久side) ページ32
芦戸さんと葉隠さんはその場で泣き崩れ、麗日さんと飯田くんは顔を伏せて号泣。轟くんは途中から言葉が途切れ途切れになって目元に涙が浮かんでいて、他の皆も涙を拭ったり顔を覆ったりしている。そんな僕もAちゃんからの沢山の「ありがとう」に目から涙が零れ落ちた。
切「虹川の、馬鹿野郎…っ。死んじまったら、もう腕相撲見せられねぇじゃねぇか……っ！」
芦「ズルすぎるよ…！私たちはAにもう何も伝えることが出来ないのに、こんなメッセージを残してるとかさぁ…！」
出「…ねぇ、轟くん。どうにかしてAちゃんに会うことって出来ないのかな。ここまでされたからには、皆でちゃんと見送ってあげたくて」
上「緑谷の言う通りだ…！轟！何とかならねぇか！？」
これだけの人数。正直な話、現実的に考えても無茶が過ぎる。もしかしたら葬式は家族葬かもしれないし、僕たちが押しかけたら迷惑になるかもしれない。でも、それでも。
「……許可を貰えるかは分からねぇが、アイツの…Aの双子の妹に連絡してみる」
それだけ言って、携帯片手に庭へ出た轟くん。ここでは会話までは聞こえないけど、十中八九断られるだろうな。諦め半分。受理されたらラッキー程度で轟くんの戻りを待つ。
数分、数十分と待って、再び轟くんが共同スペースに戻ってきた。それによってここにいるクラスメイトの体が緊張で少しだけ伸びる。
焦「緑谷、皆。Aの双子の妹からなんだが…明後日の午後からAの葬儀を行うそうだ。大人数だからあんまり時間はかけられないとの事だが、夕方からなら葬儀場に来てもいいと言っていた」
出「…っ、それじゃあ」
焦「皆で、Aに会いに行くぞ」
先程まで暗い色をしていた皆の顔が次第に明るくなっていく。まさかの返答に少し驚いたけれど、お願いをしてみて良かったと心からそう思った。
虹川Aちゃん。
死んでしまったとしても、君のことは絶対忘れない。
当日の葬儀で、そういう意味でも僕たちが一輪ずつ持ってきた二十輪のシオンの花が彼女の遺体の周りを鮮やかに彩り、ご家族はそれを見て泣きながら僕たちに感謝の言葉を伝えてきた。
そして僕たちは、数十年後。
まず普通では有り得ないような、とんでもない出来事が起こるなんて…この時はまだ知る由もなかったんだ。
第3部へ続く！
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レーズン(プロフ) - ユリの花さん» コメントありがとうございます！感動してもらえて良かったです…！ハンカチをどうぞ！(？？)3部も更新始まりましたので、是非最後まで宜しくお願いします ー！ (2021年8月23日 22時) (
レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
ユリの花(プロフ) - もう途中から泣きながら読んでました…。続きが楽しみです。頑張って下さい！ (2021年8月23日 0時) (レス) id: 871fb938ae (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - あいのみさん» コメントありがとうございます！うわああああハンカチをどうぞ！(？？)好き嫌い別れそうなこの作品をここまで読んでくださり本当に嬉しいです…！でもまだ3部がありますので、もし良ければ3部の方も宜しくお願いしますっ！！ (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - なつみさん» コメントありがとうございます！あっやっぱり書いてた方がいいですかね！？生きるのか否か予想しながら読む人もいるかと思って「好き嫌い別れます」とだけ書いてたんですが…そうですよね、はっきり書いた方が分かりやすいですからね…！ご指摘もありがとうございます。 (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - 浜辺海さん» コメントありがとうございます！予想してくださってるの凄く嬉しいです！ネタバレになるので詳しくは言えないのですが、何があるかは是非3部で確認して頂けたらと思います！読んで下さり本当にありがとうございます！！ (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レーズン | 作成日時：2021年8月21日 23時
