たった４組の邦楽ロック

The Dinner [セカオワ･なかじん] ページ36

目を覚ますと、僕は調理台の上に寝かされていた。






チラリと横を見ると、包丁を振り上げる彩織ちゃん…………









"包丁を振り上げる彩織ちゃん"?!?!?!









『うわぁぁぁぁぁぁああああああ』









ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



『………お腹の包丁邪魔なんだけど』


『少しぐらい我慢しなさいよ。あたしを怒らせた罰なんだからね？』






あの後、躊躇なく降り下ろされた包丁は僕のお腹にグッサリと刺さった。


幸い、化け物だけあって、痛みを感じることはないのだが、
どうにも包丁が刺さったまま調理をするのは至難の技であり……。








『はい、完成！なかじん特製、ニンゲン鍋ぇ』


『わーい、鍋鍋ぇ』


『あ、彩織ちゃん、ノウミソは俺な』


『えーっダメ!!!あたしが食べるの!!!』


『なんでだよ！彩織ちゃん、この前のオムライスの時も食べただろ？』


『ダメぇ、深瀬くんにはあげないよ！』


『半分子にすればいいじゃん(笑)』





深瀬と彩織ちゃんがノウミソ争いをしていると、LOVEはなにかを思い出したかのようにピンと指を立てた。




『そういえばなかじん。アレはどうなったの？あのニンゲン』





"あのニンゲン"






か…………。








『あぁ、アレね……………食べちゃったよ』





『えっ？』






『だから、僕が、食べちゃったの』






『もう一回刺すわよ？』


『ええっ!!!なんで?!』


『なんだよなかじん、お前だけ楽しみやがってぇぇええ!!!』


『なんで、LOVEまで?!彩織ちゃんだけで十分だよ!!!』






ドタドタと追いかけ回されてる僕を見ていた深瀬は、ふっと短く笑い、テーブルに静かに着いた。



なにかを知っているかのように。





『さ、お前ら席につけ。久々のニンゲンだ』







そのひと言で静まり返る屋敷の中。



新品のテーブルクロスには、残るはずのないワインのシミが。








彼女の仕業とでもいうのだろうか。









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『さて、楽しいDinnerの始まりだ』

謝罪 *安元檎璃子*→←The Dinner [セカオワ･なかじん]

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